ブランディングはイメージアップ作戦ではない。
そんなフレーズがちらほらと聞こえてきます。
ん?ブランディングのこと、少し勘違いしていませんか?
ブランディングすることで、商品やサービスが売れるようになる。そのこと自体は間違いではありません。
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会が発行する教本にも、「ブランディング=売れ続けるしくみ」と書かれています。しかし、大切なのは「売れ続ける」ことができるか、ということ。
どれだけ費用をかけて立派な販促活動を実施しても、「売れ続ける」までにはなかなか至らない。なぜなら、実施されている施策が一時的なプロモーションレベルのものだからです。
ブランディングは、マーケティングとも違う。
では、ブランディングとは何なのか?よく言われるマーケティングとどう違うのか?
言葉の意味を比べてみると、
マーケティングとは「売るための施策」
ブランディングとは「売れ続けるしくみ」
そこには、大きな違いがあります。簡単にまとめてしまうと、
売るための施策(マーケティング)は、販売目標達成のため、ターゲットとする市場に合わせた施策を立てること。
一方、売れ続けるしくみ(ブランディング)は、自社の商品・サービスの強み(差別化ポイント)を武器にして、それを求める市場で戦うことです。
また、マーケティングは、どこかの企業や商品の成功事例をマネすることもできますが、ブランディングにそれは当てはまりません。
ブランディングは、その会社や商品の存在価値そのものであり、他のどこにも同じものは存在しない。それだけに答えを見つけ出すことは簡単でないけれど、強みを活かせる市場で戦えば負けるはずがないのです。
ブランディングとマーケティングの比較表
ブランディング | マーケティング | |
定義 | 売れ続けるしくみ | 売るための施策 |
取り組み期間 | 長期的 | 短期的 |
得られる効果 |
顧客: 探索コストの低減、価値獲得、自己イメージの投影、リスク低減 自社: |
顧客: 探索コストの低減、価値獲得 自社: |
ブランディング |
---|
定義 : 売れ続けるしくみ |
取り組み期間 : 長期的 |
得られる効果 : 顧客: 探索コストの低減、価値獲得、自己イメージの投影、リスク低減 自社: 差別化、付加価値+価格決定権、法的保護、社内の意思統一やモチベーションアップ、ビジネスパートナー獲得、採用活動に貢献 |
マーケティング |
---|
定義 : 売るための施策 |
取り組み期間 : 短期的 |
得られる効果 : 顧客:探索コストの低減、価値獲得 自社:差別化、付加価値 |
ブランディングのメリットとは?
顧客に対しては、
- 指名買いが増える。
- 値引きなしで売れる。
- 新人営業スタッフであっても、自社のPRを端的に伝えられる。
- 顧客からファンへと育てることができる。
その理由は、顧客が求めていることに対して、競合他社にはない答え(商品・サービス)で応えることができているから。
しかもそれは、自社が本来もっている強みに軸をおいているため、プロジェクトに取り組みやすく、継続もしやすいのです。
また、ブランディングは社内においても、大きな影響力をもちます。
- ブランディングのプロセスで社内をふり返ることで、自社の良さを再確認できる。
- ブランド価値を共有することで、社内の意思統一がしやすくなる、
- プロモーション(WEBサイトやSNS、パンフレット、営業スタッフのセールストークなど)にブレがなくなる。
- モチベーションアップにつながる。
- 人材育成や採用活動に貢献する。
などなど。
自分たちの商品・サービスの魅力を再認識するということは、スタッフ一人ひとりが誇りを持つことにつながります。ですから、外向けの効果より、むしろ社内向けのメリットの方が大きい。ブランディングは、企業がさらに成長しつづけるための推進力にもなるのです。
ブランディングを成功させる秘訣とは
それはブランディングは、エクスターナルブランディング(社外むけ)とインターナルブランディング(社内むけ)という2つの活動に大きく分けることができ、より華やかなエクスターナルブランディングの方に注目が集まりやすいせいかもしれません。
どちらも大事なステップですが、ブランディングの核となる自社の強みを見つけるには、まずインターナルブランディングが不可欠です。
また、自社の強みや弱みについて冷静にとらえ、深く掘り下げていく作業というのはなかなか難しいことでもあります。
スムーズに進めるためには、社外に信頼できる伴走者を見つけることです。なおかつ、パートナーは道を間違えないようサポートしながら、一緒に悩んでくれることも大切。
ブランディングは、長期的かつ着実に積み重ねていく作業であるため、じっくりと腰を据えて取り組んでいくことをおすすめします。