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採用サイトのタイムリーなコンテンツ発信とは

サイトの企画採用担当にとっては、頭の痛い採用難の状況。
会社の魅力を理解し、頑張ってくれそうな人にアピールするには、「どんなコンテンツがいいのか」と、採用サイトの企画で悩んでおられることと思います。しかし採用サイトの企画で、いちばん大切なのに忘れやすいのが、「目の前の就活生に語るように企画を練る」こと。求職者対象のアンケートで、企業を知る情報源のトップに8割近くの就活者が挙げているのは、やはり採用サイトです。

キャリタス就活「2025年卒 採用ホームページに関する調査」(PDF)

会社説明会に参加したり、面接にのぞむとき、内定からいよいよ最終決断をする場面でも、傍らにあるのは採用サイトです。見落としはないかと何度もチェックし、行間まで読み込もうとする猛者がいるかもしれません。

改善の観点はいくつもありますから、いろいろと視点を変えて検証する必要があります。

彼らが頼りにする採用サイトは、実は就活の時期によって閲覧の仕方、チェックするコンテンツが変わります。このコラムでは、就活者の活動時期に合わせたコンテンツのあり方についてご紹介していきます。

就活者の思考や行動は、就活時期によって変わる

採用コンテンツは、就活者にとって王道のツール。なのにWEB上には、企業概要や福利厚生と募集要項を添えたくらいの、凡庸な内容にすぎないサイトが多いのも事実です。
採用サイトをリニューアルしたものの、うまく機能しているのだろうかという声も。では、就活者に刺さる、ほんとうのポイントはどこにあるのでしょうか。

マーケティングの世界には「カスタマージャーニー」という言葉があります。
消費者が商品(ブランド)にふれて購入にいたるまでを旅にたとえ、フェーズごとの施策を考えるフレームワークです。

就活者が思考や心情を変化させていく行動は、このフレームワークに乗せることができます。今回は採用カスタマージャーニーを駆使して、採用サイトのコンテンツをブラッシュアップする考え方をご紹介します。

・就職活動のフェーズごとに、就活者の変化する心境に配慮したサイト構成
・就職活動中に、閲覧を重ねても色あせないコンテンツづくりの秘訣

就活初期:企業情報の収集スタート

就活者採用ポータルサイトや就職ガイダンスなどをきっかけに、たくさんのアタック候補にふれる最初の数ヵ月です。企業側は、この時期に就活者たちに自社を印象付け、その後の採用活動を上手く運ぶための大切な時期でもあります。後述する自社の良さをもとにした、採用コンセプトを一貫して訴求し、「この会社がいいな」と感じさせる大きな機会と捉えてください。

この時期に就活者が重視するコンテンツ

・募集要項
・福利厚生
・職種紹介
・会社概要
・事業紹介

自身の適性や志向をもとに、広い範囲で「様子見」をしています。

まずは、「事業内容」「自分に合った職種があるか」といった興味をスタートとして、労働条件や福利厚生などの基本情報を得ることが主な閲覧の目的になります。職種紹介では、在職者のキャリアや資格とともに詳細な内容を伝えます。インターンシップを経験していない候補者も多く集まりますので、「仕事紹介」のような平易な職種紹介コンテンツを準備するのも手です。

事業紹介や企業理念もメリハリのない説明だけでなく、「ならでは」の魅力を強く打ち出します。会社の価値は規模の大小や知名度だけではありません。会社を測る一般的なものさしではとらえきれない「良い点」が必ずあります。それこそが、就活者の心を動かす大切なポイントと心得てください。

たとえば、

・知られていないが業界シェアNo.1
・規模は中堅だが、大手のグループ会社
・社員1人あたりの売上は業界でも高いのに、残業ゼロ
・経済変化に強い(安定性)
・離職率が圧倒的に低い
・転勤・異動がない
・チャレンジ推奨の社風

などなど。

通常業務のなかで、自社の魅力を考えてみる機会は多くありませんが、これを機にグループで集まり、自社の良いところだけを挙げていくと、意外なポイントが見つかったり、全員が納得することがあったり。在職者だからこそ実感するポイントは、就活者にとっても大いに興味がわくものです。
ただし、良くないところは挙げないこと。いつまでも終わらないグチ大会になってしまいますから。

会社にまつわる数字の図表化を工夫したり、デザイン性を図るなどして、「3分でわかる◯◯」といった、わかりやすく印象に残るコンテンツを掲示することも検討しましょう。併せて、採りあげた数字の魅力を伝える際も、内容ごとに就活者に理解できる言葉を選んでおきます。
この時期に大切なのは、再訪を促す「この会社、いいかも」を感じさせること。

就活中期:より深く調査し、応募への決心を固める

会社説明会会社説明会に参加したり、面接対策を始めるなかで、深い関心を抱き、自身と会社とのつながりを意識する時期です。

就活者が重視するコンテンツ

・採用コンセプト
・求める人物像
・先輩インタビュー
・クロストーク
・職場紹介(写真・動画)

在職者で話し合った自社の魅力から導き出された採用コンセプトと、求める人物像を明確に伝えること。それをわかりやすい言葉に落とし込んだメインのキャッチコピーを各コンテンツに反映させておきます。企業説明会、面接など就活者とリアルで接する場面でも、この採用コンセプトの一貫性は保たなければなりません。

先輩インタビューやクロストークの編集においても、このコンテンツで、採用コンセプトに即して「就活者に何を伝えたいのか」を明確に意図することが大切です。就活者が読み込んでいくうちに、会社の強みや社風をくみとったり、「おなじ経験ができそうだな」と、自身におきかえてくれるように、企画の段階から仕掛けを考えておきます。

就活後期:どの企業に内定受諾を出すか

完全売り手市場のいま、就活者たちは数社から内定を受けるのがふつう。あなたが出した内定通知を受諾してくれるよう、働きかけるアクションが採用活動の成否を分けます。

就活者が重視するコンテンツ

・トップメッセージ
・会社の強み
・平均的な勤務スケジュール
・入社後サポート
・研修・教育制度
・キャリアパス

ミスマッチや内定辞退を防ぐために、採用サイトが果たす役割はなんでしょうか。

それはいま一度、認知や調査の段階で積み上げてきた、会社の強みと唯一無二の個性を再確認してもらい、就活者と採用担当が共有するなかだちをすることです。会社を知ったときから内定を受けるまでを振り返り、「自分はこのポイントが好きだから、面接に力が入ったんだな」とあらためて認知させてあげるのです。

「迷いのある就活者に、確信を持たせてあげる」こと。

複数の内定を受けていれば、世間体や周囲の意見の影響、社会経験のない就活者にとっては、どうしてもより大手で名の通っているところが気になるものです。企画の段階から就活者に魅力を感じてもらえる採用コンセプトで一貫して訴求してきたコンテンツは、競合企業との比較に優位性をもたらします。
結果として、大手を選んだ就活者とは100%の相思相愛にはなり得なかったと考えるべきです。
この段階で考慮すべきことのひとつに、早期離職の対策もあるからです。

自社の良さを気に入ってくれている就活者の後押しをするために、入社後の資料もていねいにまとめておきます。研修や教育の内容はできるだけ詳細に、資格取得のサポートも具体的な数値や実績をあげます。先輩社員の平均的な勤務スケジュールをうまく紹介するのも効果的。採用サイトではまだ多く見かけませんが、経営トップのインタビューで人材重視の姿勢や、独自の強み、今後の方向性を発信するのも、親御さんへの強いメッセージにもなります。

目の前の就活者に、真剣に思いを語るように

専門家に相談企業説明会で、就活者が興味を持った御社のポイントはどこですか?
どんな質問が出ましたか?
あなたの言葉に、集まった就活者はどんな表情をしていましたか?

リアルで接した就活者とのコミュニケーションには、採用サイトのコンテンツ構成のヒントがつまっています。それを採用サイトに反映していくことが、多くの相思相愛候補を集めるポイント。

自社は、どんな人材と縁を結べたらハッピーなのか。
採用活動とは、希望者の心情や迷いに寄り添い、お互いが納得して握手するまで思いをかわすプロジェクトです。まずは足元、自社の良さを振り返り、目の前の就活者たちと密なコミュニケーションを図ることに注力すれば、必ず答えは見つかります。

もし、それでも解決策が見つからなければ、当社にご相談ください。
就活者に刺さる優位性の見つけ方、採用サイトで優位性を一貫して訴求する方法をご提供しています。

何度も見たくなるCMと、キャッチコピーの蜜月な関係

何度も見たくなるCMと、キャッチコピーの蜜月な関係

名作CMには、実は映像を凌ぐほどのキャッチコピーがその世界観を伝えるために存在しているという事実。
思わずテレビに見入ってしまうCMに出会うと、ものすごく得をした気分になれる。

筆者がコピーライティングを生業とする者だからということではなく、あなたも何気なく観ていたテレビで流れる珠玉の1本のCMに、心を揺さぶられたことが一度ならずあるはずだ。

風呂あがりのドライヤーまで止めさせられたCMに秘められたものは何だったのだろう。
目にする映像を越えて、頭のなかに勝手に膨れ上がるストーリーなのか。単に出演者に興味を持っただけなのか。それともやはり「今」を的確に反映した時代性だろうか。

ときに企業の壮大な世界観を見せつけ、視聴者に未来を感じさせる。また、出演者のユーモアたっぷりな演技で商品の親しみやすいイメージを印象付ける。さらには、今まで思いもしなかった事実にハッとさせられる。

チラシでは届けられないメッセージとブランディング。WEBサイトでは「あなた」との距離が近すぎる。

やはりCMは、企業PRの花のような存在。時代を映す鏡だ。

この記事では、CMを愛してやまない筆者が「う~ん」とうなった作品のなかから、キャッチコピーも輝きを放つ名作を独断で紹介していきたい。

CMの映像をキャッチコピーが的確に支える

CMの映像をキャッチコピーが的確に支える

心に残るCMは、概念的なことを伝える企業CMが多くなる。商品、サービスの宣伝は、商品名を連呼したり、スペックを並べ立てたりと、どうしても実弾的な意味合いをクライアント側から求められるからだ。

ただし、企業CMとはいえ、「私たちはこんな企業でありたいと思っています」的に、超概念的なことをアピールしても、直接事業とは結びつかないので、視聴者の記憶にはほぼ残らない。正直なところ、宣伝費の無駄遣いだ。

そのあたりを上手くやっていると感心してしまったのが、損害保険会社の東京海上日動。
「人生にはチャレンジがある」というキャッチコピーが生きるこのシリーズは、6編公開されていた。そのなかでも特に秀逸と感じたのが、遠くに愛車を停めすぎて、駐車場の料金支払機にチケットを入れようとしても届かなくなってしまった男性が焦る姿をコミカルに描いた作品。

損害保険のお世話にならざるを得ない状況というのは、突然のエンジントラブルや交通事故など「自分ひとりの力では、かんたんに解決できない状態」だ。
その切迫した状況を駐車場の男性をコミカルに描くことで、損保からイメージする「トラブル」の悲壮感もなくしてしまっている。

そしてナレーションが伝えるのが 「そのとき、あなたの力になりたい」

「そのとき」は、観ている人それぞれの「そのとき」だ。
「万一のとき」ではない。「事故の際に」でもない。
少しだけ視点を変えて視聴者に強いメッセージを届けるCMの販促効果は100点満点。ダイレクトに言わないことの妙ともいえる東京海上日動の企業CMに、「いいね!」300回くらい差し上げたい。

CM動画、YouTubeでの公開終了

心あたたまるCMの映像に、魅了され続ける90秒

心あたたまるCMの映像に、魅了され続ける90秒

これも企業CMで、YKK APの長く続くシリーズのひとつ。「似たものどうし篇」と名づけられた作品は、飼い主の男性とネコちゃんが暮らしのなかで同じ行動をしてしまっているというシーンをいくつも紹介していくもの。
ネコ好きでなくても、思わずクスッと笑ってしまう暖かい世界観を持った映像が積み重なる。

男性が暮らすアパートの一室で、一緒に雑誌を読んだり、風呂に入ったり、ケーキで何かの祝いごとを楽しんだり。
ある日、男性が窓辺でコーヒーを楽しんでいると、通りを歩く美しい女性の姿を見つける。思わず手を振る男性だったが、女性はプイッとそっぽを向いて行ってしまう。

残念そうに肩をすくめる男性の横で、ネコちゃんもじっと窓外を見つめている。手を振っているような、いないような。窓の外には、かわいいメスねこの姿が。今までの映像から想像すると、ネコちゃんもあっさり振られるのかと思いきや、メスねこが喜び勇んで寄ってくるという、どんでん返し。

最後のシーンでは、幸せそうに窓辺で戯れるネコちゃんたちの姿をほほえましく見ている男性の表情。
締めのナレーションは、「窓があると、物語が生まれる」というキャッチコピーで締められる。

窓から見る眺めは、ダイレクトに見る視界とはたしかに違う気がする。窓という枠があることで、普通の風景も何か特別な世界になるのかもと感じさせてくれる作品だ。

YKK AP「似たものどうし」篇

音楽を流さない。映像とコピーだけのCM

音楽を流さない。映像とコピーだけのCM

ターゲットに合わせた昔懐かしい歌、商品名をジングル化して連呼するもの。とにかくCMと音楽はセットになっていて、視聴者の記憶に残すために必須にしていることがほとんどだ。

しかしこのマツダのCMは、音楽が一切入らない。
デミオ特別仕様車の内外装の美しいデザインと静かに語るナレーションだけで構成されているのだ。

美しい映像を見ていると、ベンツ?と感じてしまうほど落ち着いたデザインとなっている。
女性の落ち着いた声で読み上げられるコピーが、完成した特別仕様車がどれほど完成度の高いデザインを持っているかを自信ありげに語っている。

「美しいものでなければ、人の心を打つことはできない」
「情熱を込めて作られたものでなければ、感動を呼ぶことはできない」
「人間の手が生み出すさまざまな形をまとって、我々のクルマたちは単なる道具であることを超える」
「これがマツダデザイン」
「特別なデミオ、登場」

マツダが一貫して使用しているキャッチコピーが浮き上がる。このキャッチコピーはスーパーのみでの登場だ。

「Be a driver」

マツダの開発陣は「人馬一体」にこだわり、ドライバーの意のままにクルマを操れてこそ運転することが楽しくなる乗用車なのだと主張している。デミオの特別仕様車は、デザインでユーザーを魅了し、車体そのものでドライブすることの楽しさが生まれる本物の乗用車なのだと主張している。

「This is Mazda Design×デミオ特別仕様車登場」篇(CM動画、YouTubeでの公開終了)

人生訓にもなるキャッチコピーが中心のCM

人生訓にもなるキャッチコピーが中心のCM

クレジットカードは、ぜひうちのを使ってねと、安直すぎてストレートには言いづらい。
このジレンマを企業CMで上手く切り抜けている例がこれだ。

若い人だけではなく、オジサンだってCMのキャッチコピーに心打たれることがあるというもの。
ジャックスクレジットカードがテニスの錦織選手を起用した企業CMは、自分の今までの行動を考えさせられてしまうものだ。もうテレビで次に流れるCMを見えなくしてしまうほどのインパクトがあるキャッチコピーである。

まばゆいばかりの光の朝に、テニスコートに一人で立つ錦織選手。
サーブの練習をしている。

彼が読み上げるコピーは短いが、重い。
「未来から逆算して動く」
「いつもの手付かずの朝は未来を変える朝になる」
「もし君がそれに気づけば」

最後の台詞をさわやかに言う錦織選手に、思わず「すみません」と謝ってしまったほど猛省した。この原稿を朝4時半に起きて書いている筆者は非常に単純な視聴者である。

最後に大写しになるキャッチコピーは、ジャックスカードがキャンペーンで使用しているもの。

「未来にタネをまこう」

未来にタネをまく=その買い物は、あなたの未来のためになるでしょ。支払いはジャックスカードでね。という図式だ。
日本中がその一挙手一投足に注目する錦織選手を起用し、なぜ彼が今の地位を築けたかを映像で語りながら、クレジットカードの商品性とシンクロさせる。企業イメージを上げながら、上手く商品を主張できているすばらしい企画だ。

JACCSカード「未来を変える朝」篇(CM動画、YouTubeでの公開終了)

良いCMには、良いキャッチコピーがある

良いCMには、良いキャッチコピーがある

心にしみる映像、気持ちがアガる音楽、納得するストーリーすべてが上手く絡み合って名作と評価されるCMはでき上がる。
しかしそれを支えているのは、コンセプトとイコールともいえるキャッチコピーだ。

商品名を連呼するだけのつまらないCMはどんどんスルーすればいい。良いCMは、何度も観たくなる映画のように何回目の前に現れても邪魔にならない。そしてそのたびに私たちは心新たに「そうだった」「そうしようと思ってたんだ」と気づくのだ。

良いCMを支える秀逸なキャッチコピーは、決して奇をてらったものではないし、妙な言葉の組み合わせでもない。私たちの心のどこかにある「気づいていないもの」をそっと教えてくれるだけのものだ。