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採用サイトのコンテンツで、変化する若者の志向をつかむ

就活生Aさん「息子が大手志望と言い張って、困ってるんだよ。良いことばかりじゃないと思うんだが」
Bさん「ウチの娘はまだ数人で始めたばかりのスタートアップ企業に参加を決めちゃって」

30年ぶりの同窓会に参加したら、こんな声が聞こえてきました。

Aさんの息子君は関西私学の雄D大、Bさんの娘さんは日本の最難関T大。円満な独り立ちを願う親たちが、そんな話題で盛り上がりました。

帰り道、就活生のゴールは色々なんだなと感じながら、ふと、先日のコラムに登場した採用担当S君のつぶやきを思い出しました。

「志望者が集まらないんですよ。みんな大手に流れるんでしょうね。中小には厳しい状況です・・・」

同窓会で聞いた若者たちの変化、具体的にどんな様子なのでしょうか。

就活世代は会社に何を求める?

社会人デビューに向き合う若年層を対象にした調査では、私たちが経験した就活とは、違った傾向が見えてきます。複数のアンケート結果をひもといて、志向の変化を顕著に感じる項目を抽出し、まとめてみました。

①勤務地 配属・部署 仕事内容 裁量権
②ワークライフバランス 福利厚生 勤務形態
③キャリアパス 成長支援 社風

①については、希望の勤務地が叶うこと、転勤はない(少ない)、入社前に配属先や部署が知りたいなどの希望が見られます。とくに仕事内容は「自分のやりたい職種につけるか」が最大の関心事で、自己実現へのステップという意味でも、働き方の軸としているようです。ルーティンワークに対しても抵抗があり、社歴が浅くても裁量権を得たいという結果も。

②で見られる要望は、「プライベートの時間が確保されていて、残業が少ない」こと。若年層に定着している「タイパ(タイムパフォーマンス)」の概念は、会社を選ぶ際の必須条件。フルフレックス、出社とリモートを組み合わせたハイブリッドワークなど、多様な勤務形態が支持されるのも、そこにつながっています。

③で特徴的なのは、「昇進を(必ずしも)望まない」という意見。就活者の30%近くを占める調査結果もあります。その理由の多くが、重い責任を嫌い、プライベートの時間を確保したいから。また、おもしろいのは「パラレルキャリア」というキーワード。終身雇用や年功序列といった旧来型の組織で勤務を終えるのではなく、副業、転職も含めて経験やスキルをひろげる生き方を一定数の就活生が思い描いているのだとか。忠誠心をもって会社に一生を捧げるなど、遠い昔の話です。

みなさんの印象はいかがでしょう。

「高望みせず堅実で、自分軸がしっかりしている」。
就職活動の中心にいるのはZ世代ですから、メディアなどで流れるイメージと被った方もおられるでしょうか。

もちろん、給与と待遇、知名度や事業規模といった項目は、以前と変わらずニーズがあります。
でも、明らかに上位独占ではありません。給与だけに限定すれば、重要度が下位になっているアンケートも見られたくらいです。

むしろ目に付くのは福利厚生や休日・休暇、仕事内容、社会貢献度や業界における将来性など。企業の個性とライフプランをリンクさせて、接点を見つけようとする姿勢です。

「どんなメンバーと、どういう環境で、どんな仕事を担うか」

表面的に提示される会社のスペックよりも、人生をよりよく生きるための確信を得たい。
それが、就職活動に取り組む彼らの本音なのでしょう。

(参考)
Z世代の仕事に関する意識調査 | 株式会社SHIBUYA109エンタテイメントのプレスリリース

少子化による採用難で大手の一人勝ち?

新宿野村ビル母集団の形成に苦労している。

企業側からよく聞かれる嘆きです。「志願者の質より量を重視する」と、昨今は大手でさえ採用枠をなんとか埋めようとする動きが伝えられています。くわえて景気の先行きに不安を感じている就活生も40%を超えることから彼らが大手に流れている傾向も。中小企業の多くがあきらめモードなのもよくわかります。

ですが、「どうせ大手狙いなんでしょ」と、決めつけてしまうのはちょっと待った、です。

大手のスペックには及ばなくても、多様化する若者の志向に応えられる強み、明確なビジョンがあれば、採用の打ち手は確実にあります。大手一辺倒ではなくなり、独自のワークライフバランスを願う若者が増えているのですから。中小にとっては、多彩な人材獲得に向けた発想の転換期なのです。

要は彼らが求める要素と、自社の魅力・強みのマッチングを徹底して追究すること。
自分が求めるものがここにあると、会社とのつながりに特別な価値を見つけて貰うのです。

採用サイト(企業サイト)で活路を見出す

「人が集まらない…」。S君のつぶやき。

ここまで調べてきて、いつものおせっかいモードに入りました。

変化しつつある就活生の志向をしっかり把握すること。
採用サイトを活用すれば志願者を増やすきっかけになるかも、と。

仮に、S君の会社にこんな個性があるなら、構成しだいでエントリー増加が期待できそうです。

・コンパクトな組織・部署を利点として、柔軟な戦略の立案・修正が可能。意思決定も迅速。
・上司と部下の距離が近く、社内の人間関係も親密で風通しが良い。独自の意見も出しやすい。
・1対1の顧客対応があり、信頼関係が築ける。「貴方から買いたい」といった声をもらう。
・認知度にかかわらず、唯一無二の技術がある。大手が一目置くノウハウを持っている。
・知名度は低くても、業界で一定の存在感を維持し、事業を継続してきた長い歴史がある。
・少数精鋭で各個人が重要な役割を担い、評価も明確で、達成感や貢献度を感じやすい。
・ライフプランに影響する転勤はなく、休日や残業もバランス良く運用の透明性も高い。
・研修やスキルアップの計画が実行されており、キャリアパスも会社と相談しながら進められる。

すべてを備えるのは難しいかも知れませんが、大手でなければムリな条件でもないはずです。

私が知るなかで、これらをうまくコンテンツに反映している企業がありますので、紹介しておきます。

採用トップ | 化学品の専門商社、島田商会の採用情報

就活生の心を動かすために

では多様化する若者の志向と、自社の求める人材をどのように整合すれば良いのでしょうか。

就活生の多くが売り手市場だと認識しており、一方的に情報を詰め込んだサイトを投げても、心をつかめません。Z世代の傾向から見ても、ラブコールが「熱烈」なだけではナンセンス。

採用サイトをラブレターに例えるなら、「あなたの希望は〇〇だよね。ボクと相思相愛になれば、こんなふうに二人で叶えていけるよ」といった構成にしないと、相手には響かない。

ここからは、相思相愛を実現するために、第一歩としておすすめな準備をあげておきます。

 

自社の魅力を書き出す

自社の魅力を書き出す
A4用紙に箇条書きで、思いつくまま自社の長所(魅力・強み)を書き出します。

少人数の組織なら全員、中規模くらいだと、経営企画や人事担当、営業など各部署から合わせて10人ほどが参加すれば良いでしょう。抽出目標は1人100個。絞り出す努力は必要ですが、あまり考えすぎず、多少被る内容があってもかまいません。とにかく仕上げる。

結果が出たら、メンバーで集まって分析しましょう。思いがけない発見があるものです。

社屋やアクセス、財務や待遇など、目に見えてたり数字に表われるものが出るでしょう。文化・風土、人間関係など、伝える表現は難しいけれど、特徴的な項目も見つかりますね。

カテゴリーに分類してまとめていくと、会社の良いところが立体的に見えてきます。参加者の視点は様々ですから、「こんな良いところがあったんだ」と、新たな発見があること間違いなしです。

みんなで揉んだら、コラム前段にまとめた就活生の志向に照らして、採用プロセスでのアピールポイントをあぶり出してみましょう。

 

求める人材のペルソナを作る

就活生その結果をもとに、訪れて欲しい志願者を、具体的なキャラクターとして設定します。ブランディングの世界では「ペルソナ」と呼ばれ、ターゲットをより鮮明にして緻密な企画につなげる手法です。採用プロジェクトをテーマとした場合の、あくまでも一例ですが、

・鈴木花子(23歳)
 学歴:「〇〇大学 文学部 英米文学科在学中」 卒論:『嵐が丘』のなかに表れる女性表現の特徴
 性格:まじめ 頑張り屋 こだわりが強い バイト:書店スタッフとして3年間
 資格:英検一級 就職への希望:留学経験もあるので、英語力を活かした仕事に就きたい

と、こんな感じです。実際に運用する場合は、さらに特徴を加えてリアルな人物像に仕立てます。

この「ペルソナ」には期待できる効果がいくつかあります。

まず、プロジェクトに関わるメンバーが、いつもペルソナを意識して担当業務を進めるので、方向性にズレが生じないこと。複数メンバーの協業やミーティングでは、迷走を抑える効果が期待できます。

また、ペルソナの生活や行動・思考に深く思いをはせる習慣を続けていると、新しいアイデアが見つかることも。インターンシップや会社説明会、パンフ、採用サイト、どんな企画にのぞむ場合でも、自分本位にならず、相手の目線に立つところから生まれるものがあります。
さらにペルソナには、合わせ鏡でうつしたときのように、「影」が連なっています。

たった1人に忠実に向き合う。目の前にいる人に話しかけるように。
馴れないあいだは、絞り込みすぎているように感じるかもしれませんが、実はその人の背後には近い個性をもった集団があり、メッセージを受け取る準備を整えて待っています。誰にでも通用するような語りかけは、メッセージをぼんやりさせてしまう八方美人になっていくだけになり、結局誰にも届かなくなります。

「たった一人を振り向かせれば、100万人に届く」
大阪のマーケター、坂本啓一さんの名著です。

状況はとらえようで変わる

いかがでしたか。採用難に打ち勝つ展開が少しは見えてきたでしょうか。
自社のサイトづくりに孤軍奮闘しているS君も、私のアドバイスを聞いてうなずきながら戻って行きました。

採用難、少子化、売り手市場、景気下降…周囲から聞こえるネガティブな言葉で、柔軟な思考が阻害されがちです。事業展開では、市場の動向を色々な角度から分析して活かすように、採用活動も少し視点を変えてみるだけで、活路はあるのだと思っていただけたでしょうか。

「就活生の志向の変化はわかるけど、採用サイトとのマッチングはどうしたら…」
「ペルソナが採用活動に反映されるって、具体的にはどんな感じ?」

そんな思いがわいてきた方は、ぜひ当社にお問い合わせください。
いつでもお待ちしております。