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採用サイトのコンテンツ、早期離職を防ぐために 

「突然、辞めたいですと言われて、ショックだったんですよ」

中堅メーカー企業の採用担当をしているS君が、ため息まじりに話しかけてきました。自分が採用にかかわった社員で、入社してまだ1年だそう。おとなしくまじめなタイプで、これといった前兆もなかったようです。

「Z世代だから、あっさりしてるんでしょうね」と、あきらめの表情。

あいづちを打ちかけましたが、「ダメもとでもう一度よく話をしてみたら」と、アドバイスしました。ふだん、採用活動について悩んでいる姿を目にしていたので、何か解決のヒントをつかんで欲しいと思ったからです。

 

離職希望の彼が言うには

「仕事がおもしろくなくて、ずっとコレをやるのかな…と」
「キャリアパスやスキルアップがイメージできず、変化のない毎日に気持ちが萎えました」

淡々と語られたのは、こんな理由だったとか。

S君は、会社のキャリアパスやスキルアップを説明し、他にも仕事はあるからと再考を求めましたが、彼の心には響かなかったようです。「石の上にも三年」と慰留を切り出したら、「三年で何か分かりますかね」と、あっけなく切り返されて言葉に詰まったと。

「この会社は、こんなもんか」。いったん期待外れの思いになると、修復は難しかったりするものです。

 

結果から見えてきたこと

これが世にいう「ミスマッチ」なのかと、落胆する背中を見ながらも、二人で原因と対策を話しました。

会社として、ここまで採用と教育にかけたコストは膨大です。去りゆく者への損切りは仕方ないとして、次なる糧にしようとの強い思いがわいてきます。新人らしからぬ捨て台詞は、率直すぎて耳に痛かったのですが、気を取り直して改善の方向性を探ります。

振り返ってみると、入社後のケア不足も含め、たくさんの改善すべきポイントがあがります。そこから、いま最優先にすべきアクションは何なのか、絞り込んでいきます。

①仕事内容について、具体的で詳細な情報を伝えられていたか。(インターンシップ・説明会など)
②キャリアパスやスキルアップについて、就活生の理解は充分だったか。(面接・内定後など) 
③採用サイトやパンフレットについても、上記二点について不備はなかったか。

いずれも就活生なら関心を抱く重要なテーマですが、入社前後で納得させるタイミングを逸していたようです。

とくに「仕事内容」については、最も知りたい項目ながら情報は不足しがちで、かつ入社後のギャップを生む原因になるとの調査結果もあります。

【企業の採用サイトに関する調査結果】求職者の視点から見た「採用サイト」の重要性と課題

インターンシップや会社説明会は限られた時間の情報共有ですが、採用サイトやパンフは志望から内定まで制限なく、いつでも就活生が参考にできるアイテムです。いま、ここにしっかりとした情報を掲示しないわけにはいきません。

 

採用サイトで伝える「仕事内容」

まずは「仕事内容を伝える」ことに焦点をあて、S君がディレクションしたという採用サイトもチェックしながら、改善の施策を伝えていきました。

 

組織と仕事をわかりやすく伝える

よくあるのは、各事業と部門・部署に担当業務を紹介して終了、というもの。

ある程度は詳細な内容が必要ですが、中堅企業でも項目を細かくすると相当な文章量になります。そもそも業界に精通している就活生は少なく、「文字離れ」の傾向もありますから、熟読には至らないことも。

そんな場合には、会社の事業と、流通・市場などの経済環境を、フロー図にまとめるのも一案。就活生が自身の志望傾向から、やりがいを感じるセクションの存在を探す地図の役割を果たします。会社規模にかかわらず踏襲できる手法なので、一例をあげておきます。

職種紹介|新卒採用情報|株式会社クボタ

また、こうした図をもとに、事業・業務の内容や、実際に働いている社員の声にリンクさせるのもひとつのやり方ですね。

 

仕事にむきあう臨場感を伝える

新入社員や先輩社員の声、クロストークをメインに活用します。インタビュー記事は就活生が何度も目を通してしまう「キラーコンテンツ」。でも、ワンパターンの一問一答では何も伝わりません。仕事ぶりや個性が際立つような質問を投げかけ、その存在感が社風を物語るイメージを醸し出すように回答を再構成するのがコツです。

就活生に、「この人、自分とキャラが似てるな」と思わせるレベルに仕上がれば最高です。

「仕事内容」という観点では、成功や失敗の体験談、感情の揺れも汲み取って構成しましょう。エピソードトークで、上司や顧客とのかかわりも添えれば、さらにリアルなストーリーとなって、読み手の疑似体験につながります。

先輩インタビュー | 採用情報 | スポーツ用品、ファッションアイテムのイモト

クロストークでは、参加メンバーを工夫することで、社風や歴史、経営理念と相通ずる良き伝統を感じさせることができます。社歴や担当業務、階層や年齢が、バラエティ豊かな方が、おもしろくなりそうです。

企業活動を一言で表すときも、「〇〇イズム」「〇〇クオリティ」などのワードが使われますが、現場をよく知る社員の声からそれが読み取れれば、就活生からの信頼も得やすいでしょう。

クロストーク | 採用サイト | ロート製薬株式会社

 

経験を重ねつつ、成長するプロセスを伝える

「この会社を選べば、成長への追い風になるはず」と、就活生は期待します。給与などの対価以上に、仕事についての達成感や充実感、成長に向けたサポートを重視する傾向もあります。

資格取得への補助、スキルアップ研修や教育制度は、関連する数字を明らかにすると効果的。マトリックスなど図表を活用してわかりやすくすると好印象に。

キャリアパスを知ってもらうために、先輩ストーリーをまとめている企業もありますよ。

キャリア・働く環境 | 採用情報 | キユーピー

「それから、求める人材を伝えるのも大切だね。チェックボックスがついた箇条書きで、こんな人に来てほしいという項目をあげているところもあったな。しっかりしたサイトは、採用コンセプトや人事担当者の考えを明らかにする単独ページを作り込んでいたり…」

すると、「ちょっ、ちょっと待ってください!」と、S君。「頭がいっぱいになってきました…」

私が、勢い込んで一気に話しすぎたのでしょう。少しあわてた表情で、これから人事や経営企画担当と相談するとのこと。離職騒動からうけた傷心は、いつしかどこかに飛んでいったようです。

 

就活生の傾向や求めるものに目をむける

最初にS君がつぶやいた「Z世代」。すっかり定着しているようですが、私には少し抵抗があります。集団を端的にイメージするには便利ですが、個々の実態をとらえる感性を鈍くしているような気がしてならないのです。

昭和世代と違って、入学してほどなく就職について考えなさいと迫られる大学生。専攻分野の学業に追われながらの就活です。忙しさから社会との接点も少なかったり、自身の個性を世の中に活かすビジョンに至らないまま仕事に就く展開も容易に想像がつきます。

そんななか苦労の末に内定をもらったりすると、いわゆる「楽観バイアス」が働いて、思考停止になっている求職者もいるでしょう。「内定が出たのだから、たぶん自分には合っている、大丈夫」と。

アンケートがすべて正しいとはしませんが、就活生の関心の上位に「仕事内容」があがる事実。
採用サイトから得たい情報も、入社後のギャップを感じる原因も「仕事内容」。

採用する側としては、このテーマを志望者といかに共有するのかが、入社前後のトラブルを避けるポイントになりそうです。

採用サイトを通じて、求職者に仕事内容や成長へのプロセスをリアルに受け止めてもらい、内定辞退や早期離職のリスクを減らしたいとお考えの際は、ぜひ当社にご相談ください。

採用サイトのタイムリーなコンテンツ発信とは

サイトの企画採用担当にとっては、頭の痛い採用難の状況。
会社の魅力を理解し、頑張ってくれそうな人にアピールするには、「どんなコンテンツがいいのか」と、採用サイトの企画で悩んでおられることと思います。しかし採用サイトの企画で、いちばん大切なのに忘れやすいのが、「目の前の就活生に語るように企画を練る」こと。求職者対象のアンケートで、企業を知る情報源のトップに8割近くの就活者が挙げているのは、やはり採用サイトです。

キャリタス就活「2025年卒 採用ホームページに関する調査」(PDF)

会社説明会に参加したり、面接にのぞむとき、内定からいよいよ最終決断をする場面でも、傍らにあるのは採用サイトです。見落としはないかと何度もチェックし、行間まで読み込もうとする猛者がいるかもしれません。

改善の観点はいくつもありますから、いろいろと視点を変えて検証する必要があります。

彼らが頼りにする採用サイトは、実は就活の時期によって閲覧の仕方、チェックするコンテンツが変わります。このコラムでは、就活者の活動時期に合わせたコンテンツのあり方についてご紹介していきます。

就活者の思考や行動は、就活時期によって変わる

採用コンテンツは、就活者にとって王道のツール。なのにWEB上には、企業概要や福利厚生と募集要項を添えたくらいの、凡庸な内容にすぎないサイトが多いのも事実です。
採用サイトをリニューアルしたものの、うまく機能しているのだろうかという声も。では、就活者に刺さる、ほんとうのポイントはどこにあるのでしょうか。

マーケティングの世界には「カスタマージャーニー」という言葉があります。
消費者が商品(ブランド)にふれて購入にいたるまでを旅にたとえ、フェーズごとの施策を考えるフレームワークです。

就活者が思考や心情を変化させていく行動は、このフレームワークに乗せることができます。今回は採用カスタマージャーニーを駆使して、採用サイトのコンテンツをブラッシュアップする考え方をご紹介します。

・就職活動のフェーズごとに、就活者の変化する心境に配慮したサイト構成
・就職活動中に、閲覧を重ねても色あせないコンテンツづくりの秘訣

就活初期:企業情報の収集スタート

就活者採用ポータルサイトや就職ガイダンスなどをきっかけに、たくさんのアタック候補にふれる最初の数ヵ月です。企業側は、この時期に就活者たちに自社を印象付け、その後の採用活動を上手く運ぶための大切な時期でもあります。後述する自社の良さをもとにした、採用コンセプトを一貫して訴求し、「この会社がいいな」と感じさせる大きな機会と捉えてください。

この時期に就活者が重視するコンテンツ

・募集要項
・福利厚生
・職種紹介
・会社概要
・事業紹介

自身の適性や志向をもとに、広い範囲で「様子見」をしています。

まずは、「事業内容」「自分に合った職種があるか」といった興味をスタートとして、労働条件や福利厚生などの基本情報を得ることが主な閲覧の目的になります。職種紹介では、在職者のキャリアや資格とともに詳細な内容を伝えます。インターンシップを経験していない候補者も多く集まりますので、「仕事紹介」のような平易な職種紹介コンテンツを準備するのも手です。

事業紹介や企業理念もメリハリのない説明だけでなく、「ならでは」の魅力を強く打ち出します。会社の価値は規模の大小や知名度だけではありません。会社を測る一般的なものさしではとらえきれない「良い点」が必ずあります。それこそが、就活者の心を動かす大切なポイントと心得てください。

たとえば、

・知られていないが業界シェアNo.1
・規模は中堅だが、大手のグループ会社
・社員1人あたりの売上は業界でも高いのに、残業ゼロ
・経済変化に強い(安定性)
・離職率が圧倒的に低い
・転勤・異動がない
・チャレンジ推奨の社風

などなど。

通常業務のなかで、自社の魅力を考えてみる機会は多くありませんが、これを機にグループで集まり、自社の良いところだけを挙げていくと、意外なポイントが見つかったり、全員が納得することがあったり。在職者だからこそ実感するポイントは、就活者にとっても大いに興味がわくものです。
ただし、良くないところは挙げないこと。いつまでも終わらないグチ大会になってしまいますから。

会社にまつわる数字の図表化を工夫したり、デザイン性を図るなどして、「3分でわかる◯◯」といった、わかりやすく印象に残るコンテンツを掲示することも検討しましょう。併せて、採りあげた数字の魅力を伝える際も、内容ごとに就活者に理解できる言葉を選んでおきます。
この時期に大切なのは、再訪を促す「この会社、いいかも」を感じさせること。

就活中期:より深く調査し、応募への決心を固める

会社説明会会社説明会に参加したり、面接対策を始めるなかで、深い関心を抱き、自身と会社とのつながりを意識する時期です。

就活者が重視するコンテンツ

・採用コンセプト
・求める人物像
・先輩インタビュー
・クロストーク
・職場紹介(写真・動画)

在職者で話し合った自社の魅力から導き出された採用コンセプトと、求める人物像を明確に伝えること。それをわかりやすい言葉に落とし込んだメインのキャッチコピーを各コンテンツに反映させておきます。企業説明会、面接など就活者とリアルで接する場面でも、この採用コンセプトの一貫性は保たなければなりません。

先輩インタビューやクロストークの編集においても、このコンテンツで、採用コンセプトに即して「就活者に何を伝えたいのか」を明確に意図することが大切です。就活者が読み込んでいくうちに、会社の強みや社風をくみとったり、「おなじ経験ができそうだな」と、自身におきかえてくれるように、企画の段階から仕掛けを考えておきます。

就活後期:どの企業に内定受諾を出すか

完全売り手市場のいま、就活者たちは数社から内定を受けるのがふつう。あなたが出した内定通知を受諾してくれるよう、働きかけるアクションが採用活動の成否を分けます。

就活者が重視するコンテンツ

・トップメッセージ
・会社の強み
・平均的な勤務スケジュール
・入社後サポート
・研修・教育制度
・キャリアパス

ミスマッチや内定辞退を防ぐために、採用サイトが果たす役割はなんでしょうか。

それはいま一度、認知や調査の段階で積み上げてきた、会社の強みと唯一無二の個性を再確認してもらい、就活者と採用担当が共有するなかだちをすることです。会社を知ったときから内定を受けるまでを振り返り、「自分はこのポイントが好きだから、面接に力が入ったんだな」とあらためて認知させてあげるのです。

「迷いのある就活者に、確信を持たせてあげる」こと。

複数の内定を受けていれば、世間体や周囲の意見の影響、社会経験のない就活者にとっては、どうしてもより大手で名の通っているところが気になるものです。企画の段階から就活者に魅力を感じてもらえる採用コンセプトで一貫して訴求してきたコンテンツは、競合企業との比較に優位性をもたらします。
結果として、大手を選んだ就活者とは100%の相思相愛にはなり得なかったと考えるべきです。
この段階で考慮すべきことのひとつに、早期離職の対策もあるからです。

自社の良さを気に入ってくれている就活者の後押しをするために、入社後の資料もていねいにまとめておきます。研修や教育の内容はできるだけ詳細に、資格取得のサポートも具体的な数値や実績をあげます。先輩社員の平均的な勤務スケジュールをうまく紹介するのも効果的。採用サイトではまだ多く見かけませんが、経営トップのインタビューで人材重視の姿勢や、独自の強み、今後の方向性を発信するのも、親御さんへの強いメッセージにもなります。

目の前の就活者に、真剣に思いを語るように

専門家に相談企業説明会で、就活者が興味を持った御社のポイントはどこですか?
どんな質問が出ましたか?
あなたの言葉に、集まった就活者はどんな表情をしていましたか?

リアルで接した就活者とのコミュニケーションには、採用サイトのコンテンツ構成のヒントがつまっています。それを採用サイトに反映していくことが、多くの相思相愛候補を集めるポイント。

自社は、どんな人材と縁を結べたらハッピーなのか。
採用活動とは、希望者の心情や迷いに寄り添い、お互いが納得して握手するまで思いをかわすプロジェクトです。まずは足元、自社の良さを振り返り、目の前の就活者たちと密なコミュニケーションを図ることに注力すれば、必ず答えは見つかります。

もし、それでも解決策が見つからなければ、当社にご相談ください。
就活者に刺さる優位性の見つけ方、採用サイトで優位性を一貫して訴求する方法をご提供しています。