なんだか寒い。街宣車がうるさい。湯沸かしの混合水栓の蛇口が2つだとちょうど良い温度に設定するのが面倒だ。テーブルタップが床に転がっているのはは美しくない・・・オフィスでちょっとした不満を挙げはじめると、枚挙にいとまがない。しかしそれを放置しておくのも問題だ。
だとしたら、気づいたときにサッと改善してしまえばいいのである。ほんの少し手間をかけることで、劇的に改善できることはいくらでもある。このコラムでは、私たちがふだんから実践している、あるいはすでに実施した改善ポイントを紹介したい。今日、今からでもスルッと手が付けられるものもあるので参考にしてほしい。
【オフィスDIY】1.ちょっとした飾りがホッとできる空間に
コーヒー、紅茶を淹れ、冷たい飲み物を取り出すスペースは、仕事から解放されてほんの一瞬でも気を抜けることが必要だ。当社のオフィスには、食器棚と冷蔵庫を設置したスペースがある。
廊下の突き当たりにある、折りたたみドアを開けると癒やしの空間が現れる。今まではクロスを貼った何の変哲もない壁だったが、アマゾンで壁に貼れるデザインシールを購入。ドアを開けた瞬間、突き当たりの壁にコーヒーカップやコーヒー豆のイラストを配した。
ちょっとしたことで、癒やしは生まれるのだという見本だ。
【オフィスDIY】2.オフィスの気温を平準化し、冷暖房コストを低減する扇風機
家庭で実践されている方も多いのではないだろうか。
エアコンで冷暖房しても、室内の空気は天井部分とフロア部分で温度差を生じる。これを解消するためには室内の空気をかき混ぜてやらないといけない。その役を果たしてくれるのが扇風機。フロア型のものでは邪魔になるので、壁掛け型を設置した。
安物を買ってしまったので、扇風機の羽根が柔らかく、風量を強くすると稼働音がうるさいので、固い羽根に交換した。扇風機を設置するだけで、感覚的に冷暖房費は20%程度はダウンしたように思う。もちろん、体感温度も格段に変わった。
【オフィスDIY】3.見苦しい電源コードをなくす。モールの威力
私は、電気のコードが床を這っているのが許せない。見苦しいことこのうえないし、引っかけてつまづいてしまう危険だって潜んでいる。固定して問題ないコードはサッと隠して固定してしまえばいいのだ。
利用するのはモールという電線コードを中に隠してしまうアイテム。グレーのものが多い。床を這わせるのならそれでいいが、壁の下部に貼り付けるのであれば、壁の色と近いものを用意したい。
カーペット(当社はタイルカーペットを使用)の上にモールを這わせてしまうと、経年変化でカーペットにべっとり糊がついてしまい、あとで面倒なことになるし、つまづいてしまうリスクもある。できれば内装を傷めないことに注意しながら壁紙の上を這わせたい。
内部にしまうコードの太さによって、モールは0号から2号まで使い分けられるようになっている。コードの太さに合ったぴったりのモールを選び、すっきりさせるようにも配慮しよう。
【オフィスDIY】4.傷つきやすい壁の角を守る、コーナーアングル
非常に細かな配慮といってもいい。こんなこと、職人しか使わないワザだろう。
壁のコーナーの下部分は、掃除機のコードで擦れたり、ベランダに水をまく際に使うホースで痛みやすくなる。ひどくなると、削れてボロボロになったりもする。内装を傷つけず、美しいオフィススペースを保つために、ぜひとも導入しておきたいアイテムだ。
内装の痛みを防いだり、壁紙の剥がれを避けるためにプラスチック製のアングル(90度に曲がった建築部材。ホームセンターの資材売り場で手に入る)に両面テープ(安物ははがれるので強力タイプが望ましい)を貼り付け、びっちりと固定する。壁と近い色のアングルを選べば、見た目にも美しく壁の補強が完了する。
【オフィスDIY】5.照度が低いスペースがあるなら、ダウンライト埋め込み
レイアウト変更などで、どうしても照度が低くなるスペースが出てくることがある。そういう部分があると、何となくどんよりした空間で仕事をしているような印象になる。オフィスは明るく、常にはつらつとした雰囲気のある「仕事場」にしておきたい。
意外と簡単に設置でき、照度アップさせられるのがレール式の照明。レールを長いものに交換したり、継ぎ足すだけで延長することもできるので、照度不足のスペースを明るく照らすことができる。
もう少しすっきりさせたいのなら、埋め込み式のダウンライトがおすすめだ。60Wから100W相当のLED式でも3,000円程度で手に入る。設置には少々手をいれなければいけないが。まず、ダウンライトの埋め込み径に合った「ホールソー」というツールを購入。電動ドリルに付け、壁に丸い穴を開ける強力な武器だ。穴を開ける際には、天井板を支えている金具に当たらないように配慮することも必要だ。
穴が空いたら、近くにある照明から電源コードを延長して設置するダウンライトにつなぐだけ。電気配線には電気工事士の資格が必要なので、自分でやろうと考えている人は、自己責任でお願いしたい。
ダウンライトにも電球色(黄)、昼光色(白)があるので、他の照明とのバランスを考えて購入しよう。
【オフィスDIY】6.ふとした瞬間に癒やされる、ベランダのプランター
当社には、幅の広いベランダがある。7-8mある、結構長いスペースだ。3階なので、ベランダの向こうには街路樹も目にすることができ、借景で目を癒やすこともできる。しかしそれではもったいない。無味乾燥になりがちなオフィスをいくらかでも癒やしの空間にするために、ベランダの柵(コンクリート)部分にプランターを設置。長く咲いてくれるサフィニア、ペチュニア系の花を植えている。
春から夏にかけては満開に色とりどりの花が咲き乱れ、心地よい風景が広がる。外から見上げても、ベランダの外側に垂れながら咲き乱れているので、美しい光景になっており、通りを行き交う方々のなかには、当社の花でホッとしていただいている方もおられるかもしれない。
なかなかいいアイデアが出ず、どんよりした空気が立ち込める会議。クライアントから無茶なリクエストを告げられた電話を切ったあと・・・。
どうにかして気分を変えたいとき、筆者はベランダに咲き誇る花たちを眺めることにしている。
【オフィスDIY】7.心地よいBGMは仕事をスピードアップさせる
DIYではないが、心地よい空間づくりという意味で紹介したいのがBGMに使用するオーディオ機器。
安っぽいパコパコのスピーカーは、薄っぺらい音がなる。瞬間的には音がなってさえいれば十分と思う方もおられるかもしれないが、人間の体はそんな単純なものではない。心地よい音をならしてくれるきちんとしたアンプ、スピーカーは初期投資が少しかかっても、ある程度のレベルはクリアしたいところだ。
スピーカーは小ぶりのBOSEにし、邪魔にならないように天吊りにした。
【オフィスDIY】8.時間の区切りを付けることは大人として必須。タイマー
フレイバーズでは、10:00(午前中が集中タイム)、12:00(昼休憩)、13:00(午後スタート)、18:00(終業)、20:45(最終退社時間)を音楽で知らせるようにしている。小規模オフィスでは、何の合図もなければ時間の区切りがつかないことも多い。それではメリハリのある仕事にはならないのだ。
これについては、メインマシンにはならなくなったスペックの低いPCにソフトウェアを組み込んで対応した。
【オフィスDIY】9.毎時を知ることで、作業のペースをチェックできる、掛け時計
先ほどの区切りを知らせるタイマーだけでは、午後時間が長すぎてダラッとしてしまうのではないかと感じた方がおられたかもしれない。しかし心配ご無用だ。当社の掛け時計には、毎時を知らせてくれる機能がついている。学校で聞き慣れた、あの音だ。
毎時ジャストを知らせてくれるので、気になれば掛け時計で時間を確認することになる。
「おぉ、もうこんな時間か。ピッチを上げないと」
「打ち合わせに出かけるまでに、あと15分ある。もう一本電話をかけておこう」
といった行動を起こすきっかけになるのだ。
【オフィスDIY】10.オフィスの気温と外からの騒音を劇的に改善する内窓
西向きのせいか、なぜかフレイバーズのオフィスは気温が低い。さらに築30年のビルについているアルミサッシは二重ガラスであるわけもなく、窓際は冬の冷気に悩まされ、夏の猛烈な暖気に汗がにじむ。
これを解消してくれるのが内窓だ。そもそも日本のサッシの素材が熱伝導性が高いアルミなのは、諸外国からは考えられない。外部から伝わった熱が冷気暖気となって室内に悪影響を及ぼすのは当たり前なのだ。行政がメーカーに対して指導を行ってこなかったツケを私たちが払っているのである。
最新式の窓枠は、プラスチックで戸外の熱が室内に伝わりにくくなっている。さらに二重ガラスを選択することで、遮熱とともに遮音効果も絶大だ。新たに付けた内窓を閉めた状態では、戸外の騒音はほとんど気にならないレベルにまでになった。時々やって来る街宣車のけたたましい音楽やシュプレヒコールも気にならない。それぞれの作業に集中できる環境になった。
外部の音が遮断されると、常に流れているBGMの音もクリアになり、以前より心地よい空間が生まれたことも付け加えておきたい。
オフィスの環境を整えることは、仕事の質と量を上げる
製造の現場では、整理整頓、作業のしやすさが重視される。それは作業環境をすぐれたものにすることで、生産性が高まるからだ。しかし事務系のオフィスではそういったことに無頓着な企業が多い。書類の山、在庫の段ボールが積み上げられ、暑い寒いの不満が聞こえる。ほんの少しの不快感や不満を感じる瞬間が生じるだけでも集中力を欠き、生産性が低くなる。何よりそこで働く喜びなど感じないだろう。
仕事の内容だけではなく、仕事の質を高めるために何ができるか、どうすればより良い集中が維持できるかを考え、実行することも会社全体を底上げすることにつながるはずだ。