「こんな退屈な仕事やってられっか!」と思わず投げ出したくなる、面白くない仕事。ひたすら同じことを繰り返す単純作業、やりたい仕事とは無関係のもの。
どうにかできないものか、このままいくとストレスは溜まる一方。終いには通勤の電車で見かける転職の広告を真剣に読んでしまう始末。
ちょっと待て、早まるな。
ストレスを無理に溜めこむ必要もなく、転職を考えるのもまだ早い。
そう教えてくれたのは、甲南大学マネジメント創造学部(愛称:CUBE西宮)の佐藤治正教授だ。
考え方を変えれば、面白くない仕事も面白くなる。佐藤教授の卒業生へのアドバイスから学ぶ、仕事を面白くする方法を紹介。
仕事の幅を広げて、面白く
指示された仕事をそのままやるのではなく、自分で仕事の領域を広げることで、面白さは2倍にも、3倍にもなる。
佐藤教授のもとに、仕事が面白くないという卒業生が来たそうだ。
「クレームセンターで研修を受けているのですが、毎日毎日クレームを聞くだけで、つまらなくてしょうがないです」との相談に対して、佐藤教授は「つまらなかったら、面白くしたらいい」と即答。
「たとえば、私だったらこうする」と、卒業生にアドバイスする。
「まずクレームを4つか、5つのカテゴリーに分けて分析する。これはどうしても聞いてあげなければいけないクレーム、これはホームページに掲載している情報を変えたら減るクレーム、と分類していく。そして、改善すれば減らせるクレームがあるなら、上司に提案する」
つまり、クレームを受ける、ということだけを仕事にするのではなく、クレームを減らすことも仕事だと思えば、仕事はもっと面白くもなるし、学べることも増える、ということだ。
考え方ひとつで、つまらないを面白く
資料をコピーする仕事ひとつとっても同じ。コピーが終わるまでコピー機の前にぼーっと立って待つのではなく、コピーを頼まれた資料を読み込む、といった工夫をすれば、情報の再確認や、自分が関わっていないプロジェクトの把握ができる。繰り返していると、誰よりも会社全体について詳しくなれるかもしれない。
また、幅を広げず、工夫もしなくても、仕事を面白くする方法がある。
それは、考え方を変えることだ。
来客の際、何も考えずにお茶を出すのではなく、この温かいお茶をお客様に提供し、飲んでいただくことで身体の芯から温まってもらえる。私がお茶を出すことで、打ち合わせに集中してもらうことができているのだ、そう考えると、ささいな仕事にもやりがいを見いだせ、楽しくなってくる。
さらに、
温まってもらうためのお茶とは? 集中してもらうためには? と新たに取り組むべき課題も思い浮かぶ。
仕事に熱心に取り組んでいたら、だんだん面白くなってくる。我慢して続けていれば、責任ある仕事を任せてもらえるようになる。とアドバイスをする方もいる。しかし、仕事を面白くないと感じている当の本人からすれば、今すぐ面白くしたいのだ。そんな方に佐藤教授は手を差し伸べる。
何か一工夫するだけで、考え方を変えるだけで、同じ仕事でもまったく違うものに見えてくる。
「やらされている」と、どこかで感じているから面白くないだけの話。そこにあなたがいないのだ。
前向きに取り組もうと思った瞬間から、仕事は変わる。
1日の大半を費やしている時間を変えれば、仕事はあなたを大きく成長させる源となるだろう。