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経営陣にWEBの価値を正当に評価させ、あなたの価値を高める方法

経営陣にWEBの価値を正当に評価させる

WEBサイトへの理解を得て、予算を増やすにはITが苦手な役員にも分かりやすく、納得しやすいプレゼンが必要だ。この記事では、WEBサイトの現在価値の測定方法、将来の可能性について説くための手段とロジカルなストーリーを伝授する。みごと追加予算の承認が得られた暁には、ぜひ当社にも声をかけていただきたい。あなたのサイトに新たな展開を提供できるはずだ。

経営陣のなかにWEBサイトの役割について、明確な方針を持っている方がおられるのであれば、あなたは非常にラッキーだ。しかしほとんどの企業がリアルの営業活動で売上実績を挙げているために、経営陣はWEBサイトを「大きな名刺」程度にしか捉えていない。そのような認識のもとでWEBサイトを担当するのは、宮仕えしている者としてやるせない気持ちだろう。今こそアピールする手段を持ち、あなたの職務に陽をあてるべきなのだ。

経営陣が共感できる言葉を持とう

PV、直帰率、セッション、滞在時間などなど。あなたが月例レポートにこのような数字を並べているとしたら、すぐにでも改めよう。経営陣はそのような言葉の意味を覚えようともしないし、関心もない。WEBサイトが事業に確実に貢献していると知ることが大切なのだ。彼らにとって、おそらくそれは「意外なこと」だし、意外性があるから与えることのできるインパクトも大きい。だから上手くやれば、「それはすぐ注力しなければ」と行動を起こしてもらうことができるのだ。

従って、あなたが報告すべきはズバリ「売上への貢献度」、「リード情報の獲得件数」だ。それでは、3つのポイントをおさえながら、これらの数字を経営陣に伝える術を学んでいこう。

1.自社サイトの貢献度を金額換算してみよう

WEBサイト経由での顧客候補とのコンタクト数は、自社ビジネスの拡大に直結する。たとえば資料請求は、入力された個人情報や請求された資料の製品名を営業スタッフに渡すだけで顧客候補リストだ。資料請求者がどの程度の意気込みでカタログを取り寄せているかによって、ビジネスにつながる可能性は様々ではあるが、この数が増えれば増えるほどビジネスにつながる可能性は高まってくる。
さらにお問い合わせ、デモ依頼、サンプル請求など。リード情報と呼ばれるこれらの情報は、外部にアウトソーシングすれば、1件につきおおよそ2万円ほどの価値がある。毎月50件顧客からのコンタクトがあるなら、100件×2万円=200万円の価値をWEBサイトが生んでいるということだ。

この顧客とのコンタクト数が毎月何件あるかを月ごとにまとめ、WEBサイトへの訪問者数との相関関係をエクセルにまとめるだけで、平均的に500人集客すれば1件の顧客候補とのコンタクトが図れると算出できる。

数値を入力すればいいだけのエクセルシートを作成しておいたので、活用してほしい。
訪問者数とコンタクト数の推移表

2.経営陣が慌てる、競合他社サイトとの比較方法

もし競合他社のWEBサイトがどのくらい集客できているのかを調べることができれば、社内で「自社は優位に立っている」「もっと頑張らねばならない」などといったレポートができるとともに、何らかの施策を打つための指標になるのに、と考えたことはないだろうか。
競合他社のにぎわい度合いを測ることは、できるのである。

Alexaで、競合他社を丸裸にする

アメリカに、「Alexa web search」というサービスがある。amazonの傘下にあるこの企業は、世界中のサイトのアクセス数やPV数、滞在時間などのデータを収集しており、ある程度までは無料でそのデータを垣間見ることができるのだ。たとえそれが競合他社のサイトであっても、100%の数字ではないにしろ、おおよその数字が予測できる。

下記のURLにアクセスしたあと、競合他社のURLを入力すると、「Global Rank」と「Rank in Japan」の数値が表示される。これがそのサイトの「世界順位」と「日本国内での順位」だ。ちなみにYAHOO!は世界順位で17位、日本では1位だ。日本国内の順位は10万位以下は表示されない。 自社と競合他社の順位が分かれば、自社のアクセス数は分かっているはずだから、「競合のA社は、おおよそこのくらいのアクセスだろう」ということが推測できる。
さらに、競合他社のサイトの訪問者のプロフィールや直近1年の推移、どのようなキーワードで集客しているかも教えてくれる。月々数十ドル払って有料会員になれば、調べられるデータの数も増えるのだ。

おおよそでも、このぐらいの数字が把握できると、自社サイトに足りない部分はどこか、優位に立っているところはどこかといった分析もできる。前述した顧客候補とのコンタクト数も予測できるだろう。このデータをもとに上申すれば、経営陣の目の色は変わるに違いない。

Alexa web search

3.マス媒体と比較しても、WEBの価値は評価できない

TVCMや新聞・雑誌など印刷媒体への広告出稿といった、マス媒体でのリーチと呼ばれる顧客候補との接触を評価軸に、WEBサイトを比較しようと試みる人がいるが、それはまったく意味のないことだ。なぜなら、マス媒体は製品やサービスの種類によって異なるものの、その認知を高めることが得意な手段であり、WEBサイトのように顧客候補が自ら動いてコンタクトをとってくる(=購買の可能性を運営者に知らせても良いと考えている)メディアとは趣が異なるのである。
簡単に言えば、「接触する際の密度」が大きく異なるのである。TVで何度もプリンターを宣伝していても、昨年末に最新モデルを購入したあなたには一向に響かない。しかし、「また新しいのが出たのか」と認知はする。一方、昨年末年賀状を自宅で印刷するためのプリンターを物色していたときのあなたは、ネットで真剣にスペックを調べ、評判を気にしていたはずだ。製品やサービスに対する真剣度合いが異なるということなのだ。

ゴールデンタイムに流すスポットのTVCM出稿費を300万円だとすると、リーチする人数は約500万人。単価にすると0.6円だ。仮に月間の訪問者数を5万人とすると、単純に「コンタクト」という言葉でくくってしまうと、あなたが運営するWEBサイトの価値は、5万人×0.6円=3万円ということになる。こんな評価をしてしまっては、WEB担当者の悲痛な叫びが全国のオフィス街で響き渡りそうだ。

TVCMをもとに算出したウェブの価値
単月5万人の訪問者×TVCMのリーチ単価0.6円=30,000円

マス媒体別の出稿費用

前述したように、TVCMでリーチ単価は0.6円、最も高い雑誌で8円程度。これをWEBサイトの評価に適用すると、下は3万円、高くても40万円程度。質が違うのだから納得できないのも無理はない。参考までにマス媒体別の出稿費用とリーチ単価を調べておいたので、参考にしてほしい。

【リーチ単価の表】

媒体名 出稿料 リーチ数 リーチ単価 備考
TVCM 300万円 500万人 0.6円 ゴールデンタイムの15秒スポット単価
新聞広告 2、000万円 295万人 6.8円 日本経済新聞全面広告
雑誌広告 200万円 25万人 8円 annan1ページ広告
折込ちらし 6.7万円 2万人 3.35円 東京都
タクシー広告 340万円 204万人 1.67円 東京のアドシート広告

まとめ

あなたが運営するWEBサイトを経営陣に正当に評価してもらうための指標とアピール方法をいくつか紹介してきたが、すべてを駆使するか、ひとつだけを採り上げるかは目的によるだろう。たとえば、もっとWEB運営費予算を獲得したいのであれば、現状を分析し将来の可能性をアピールする。

  1. 顧客候補からのコンタクト数から、現在の評価額を算出。アクセスを増やせば、もっとコンタクト数も増やせるというアピール。
  2. 競合サイトと比べてアクセスが少ないので、何らかの施策を講じる必要があるというアピール。

いずれも、顧客候補からのコンタクト数を増やせば、売上伸長に貢献する営業支援につなげるためなのだという着地点を忘れてはいけない。

「では、どうやって訪問者数を増やすのかね?」

経営陣から速攻でカウンターが返ってくるので、その準備も忘れないようにしよう。

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平田 弘幸
株式会社フレイバーズ代表取締役。セールスライティング担当。好きな言葉は、「一生懸命が得意」

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