人が一度に記憶できるのは、7プラスマイナス2個までなのだそうだ。5〜9以上の選択肢を一度に提示されると迷ってしまい、決断できなくなる。つまり、多すぎる商品をユーザーに提示すると、かえって購買力を下げる可能性があるといえる。
これを裏付けるデータとして、シーナ・アイエンガー博士が行なった有名な実験がある。あるスーパーマーケットでジャムの試食を6種類並べたときと、24種類並べたときで比較したところ、圧倒的に24種類のときのほうが人を集めた。しかし実際に購入に結びついたのは、6種類のときは試食客の30%だったのに対し、24種類のときは試食客のわずか3%だったという。
とはいえ多くの人を集めたのは選択肢が多い方で、そちらのほうがユーザーにとっては魅力的に映るということも事実。そこからうまく購買に結びつけるには、ユーザーの迷いを解消し、決断を後押しするキャッチコピーの技術が必要不可欠だ。
このコラムでは、キャッチコピーで「おすすめ」「人気の高さ」「評判の良さ」を伝える具体例を、TPO別に集めてみた。ぜひ自社商品の効果的なアピールに役立ててみてほしい。
口コミを最大限に活用するキャッチコピー
なんといってもユーザーの心をつかむのは、商品に利害関係のない第三者の意見だ。
いくら売る側が口酸っぱく商品の魅力を説いても、「どうせ大げさに言ってるんでしょ」という疑心暗鬼は消えない。
そこで強力な威力を発揮するのがお客さまの口コミである。コピーで長々と100語るより、1つの好意的な口コミのほうがよほど効果を発揮する。よい口コミはどんどん販促コピーとして活用しよう。
また、実際に他のユーザーが買っている、人気があるということは、決断の後押しになる。そこで、下記のようなキャッチコピー例が考えられる。
口コミを利用したキャッチコピーの具体例
- 人気投票No.○
- 売上○位
- 売れてます!
- 愛されてロングセラー
- 発売以来、大反響/発売以来、人気沸騰
- うれしい声が殺到!
- ○○が推薦(例:医師も推薦、トップブロガー推薦etc)
- ○○賞受賞
数字で具体的にアピールするキャッチコピー
売れている、人気がある、というだけではなかなか心に刺さらない・・・そんなときに活用したいのが、具体的な数字の効果だ。
数字は文字のなかでも存在感があって目を引くうえ、具体的にイメージできるのでコピーの説得力を高めることができる。
もう少しコピーに説得力を出したい、強さを出したいときには数字を入れてみるのもおすすめの手法だ。
数字を利用したキャッチコピーの具体例
- ○秒に○個売れています!
- 累計販売数○個突破
- ○年愛され続ける老舗の味
- ○万人がすでに実感しています!
- たった○分で●●が完成
- 簡単○ステップ
- ○○個限定!
- たっぷり○○g配合!
用途・ターゲットを明確にするキャッチコピー
まさに「あなた」にぴったり、「あなたのために開発した」商品ですよ、ということを伝えられれば、コピーはとんでもなく強くなる。というわけで、用途やターゲットを明確にするキャッチコピーもおすすめだ。
商品開発時に想定したユーザーをダイレクトに盛り込んだり、ユーザーが実際に悩んでいるお困りごとの解決をアピールするのはとても効果があるだろう。
用途・ターゲットを盛り込んだキャッチコピーの具体例
- 出産祝いに喜ばれています
- 父の日/母の日/敬老の日プレゼントに
- レジャーにぴったり
- 帰省土産に最適
- 授乳中でも安心
- ドライバー、受験生の眠気防止に
- 女性人気No.1
- ダイエットに最適
- シニアにおすすめ
- ○○のコリ、疲れをケア
- 通学・通勤に便利
- 毎日のお弁当づくりがラクに!
- 育ち盛りの食卓に
- ○○好きに捧げる●●(例:抹茶好きに捧げるケーキetc)
メリットを伝えるキャッチコピー
王道なのが、お得になるメリットを伝えるキャッチコピーだ。
使い古された表現ではあるが、やはり効果があるものなので、デザインなどで一工夫して目に留まるようにしたい。
メリットを伝えるキャッチコピーの具体例
- 今だけ○%OFF!
- 夏の大感謝セール開催中!
- セール最大○%OFF!
- キャンペーン中
- お得なプレゼント付き
- 今だけ特典ついてます
- 緊急入荷、お見逃しなく!
- 数量限定/期間限定
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- 自慢したい一品
- 送料無料
- 試着OK/返品・交換できます
迷いを取り除くのがキャッチコピーの役割
ハンバーガー店で注文するとき、バーガーとサイドメニュー、ドリンクをそれぞれ選んで独自に組み合わせている人には、あまりお目にかからない。それよりも、おすすめセットのなかから適当に頼む人の方が、圧倒的に多いように思われる。
モノやサービスが溢れる現代では、デパートであれスーパ―であれネットであれ、何かを買うときの選択肢は多すぎるほどある。それらをすべて、まるで初孫のランドセルを買いにきた祖父母のように全力で吟味するほど、ユーザーたちは暇ではない。
多くの選択肢のなかから、効率良く自分に合ったものを選ぶために、ユーザーたちが参考にしているのがキャッチコピーなのだ。
商品の特徴をひと言で伝えるのはとても難しく感じられるかもしれないが、前述した4つの切り口で商品を見直せば、必ず糸口は見つかるはず。買う人の迷いを取り除き、背中を押してくれるようなキャッチコピーをぜひ、ひねり出してほしい。