読まれる文章を書くためには、WEBライティングの基本を身につけるのが近道だ。
ニュースリリース、FacebookなどのSNSやコラムと、WEBが普及したことで、プロのライターでなくとも文章を書く機会が格段に増えたが、あなたが執筆した文章はほんとうに読まれているだろうか。
WEB上で書いた文章を読んでもらうためには、WEBの特性を理解した上でライティングする必要がある。
20年、30年と紙媒体で文章を書いてきたベテランライターであっても、それは同じ。
WEBの特性を理解しないまま書かれた文章は、どれだけ優れたコンテンツであっても、読まれることはないに等しい。
そもそも紙とWEBでは、読者の読み方が違うのだ。たとえ普段から雑誌や書籍などの長文を読んでいる、活字に抵抗のない方であっても同様。WEBでは、はじめから腰を据えて読まれることはほとんどない。通勤や打ち合わせの待ち時間に、スマホで情報収集する際、あなたが内容をさっとチェックすることを省みれば、理解できるはずだ。
そこで、WEBに合わせたライティングが必要となってくるのだ。
WEBでは文字の判読性が低く長時間読みにくいため、短時間でも理解できるように文章を読みやすくする。そして、スクロールが前提のページだと一目見ただけでは、全体の流れがわからないので、中身をわかりやすく整理してあげればいい。WEBの特性を理解して書くだけで、あなたの文章は一気に読者に近くなる。
今回は、WEBならではの書き方に絞って、すぐに実践できる読まれる文章の書き方を紹介していく。
1.読者を引き寄せるWEBライティングの鉄則、最初に結論
訪れたユーザーを逃さないためにも、最初に知りたいことが書いてあることを伝えよう。
WEBの読者は、すぐに答えが知りたい。なぜなら、あなたの記事以外にも参考になりそうな記事が大量にあることを知っているから。
あなたがまず取り組むべきことは、読者が知りたい情報が載っていることを冒頭で伝えること。そうすることで、即離脱を回避できるのだ。
さらに、結論から書くことによって、ライティングするあなたにもメリットがある。横道にそれて文章が冗長になることを防げるのだ。
2.一文を短くするか、読点を多く入れて、理解しやすく
文章をわかりやすくする方法は、短い文章を心がけることに尽きる。
ただし、リズムのこともあるので、すべて短くすればいいというわけではない。長くなる場合は、読点を多めに入れて、意味を理解しやすくしてあげよう。
他にも文章を短くする方法として、「~することができる」、「~が可能となる」を、「~できる」に言い換えて冗長な表現を省略するといった方法も考えられる。
WEBライティングで心がけるのは、常に読みやすく書くこと。ユーザーは、読解力を鍛えに訪れてくれたわけではないのだ。
3.読まれる文章は、小見出しで内容がわかる
小見出しには、もったいぶらずに要点を書こう。知りたい情報が小見出しを拾い読みすることで、把握できるぐらいまで落とし込む必要がある。読む価値があると思ってもらうためには、出し惜しみをしてはいけない。
書く側の心情としては、すべてを読んでもらいたいが、何度も言うようにWEBの読者は時間の無駄を省きたい。読む価値があるかどうかをすぐに判断したいのだ。
小見出しを読んで、役に立ちそうだと伝えられれば、本文も読んでもらえる。もっとも避けたいのは、すぐに離脱されることだ。
4.指示代名詞の多用を避けて、悩ませない
あれ、それ、これといった指示代名詞の多用はしないようにする。WEBの読者は飛ばし読みしがちだ。興味がわいた部分だけを読む。文章を読みやすくつなぐためや、同じ言葉を繰り返すことで冗長になる場合を除いて、指示代名詞の使用を避け、どこから読んでも意味のわかる一文を心がけよう。
また、SEO的にも指示代名詞の多用を避けるメリットがある。文章が不自然になるほどキーワードを多用する必要はないが、WEBの場合は無理に抑える必要もない。検索エンジンは、指示代名詞を変換して理解してくれるほど完璧ではないのだから。
5.説得力をアップさせるために、具体的に書く
文章のわかりやすさ、説得力をアップさせる近道は、具体的にすること。文章がわかりやすいと思ってもらうためには、簡単にイメージできる必要があるのだ。
「打ち合わせに使う資料用意しておいて」
「明日、11時からA社との打ち合わせがあるから、前回のプレゼンで使った資料を5部用意しておいて。綴るのはクリップで頼む」
あなたが指示を出されるなら、どちらが用意しやすいだろう。答えは明白だ。あなたが秘書のように上司のスケジュールを細かく把握していない限り、より具体的な方がわかりやすいに違いない。
わかりやすくするには、大きく分けて3つのポイントがある。
- 数字
- 具体例
- 根拠、理由
を示すことだ。
まず結論を述べ、それを補足するように結論に至った理由を具体的に補足してあげれば、説得力のある文章が書ける。
6.画面の前の「あなた」に向かって語りかける
あなたに読んでもらいたい記事だと、手っ取り早く伝えるためには、素直に“あなた”と呼びかけてみればいいのだ。
極論を言うと、人は自分に関わることにしか興味がない。だが、自分に関係することだと気づいてもらえたなら、前のめりになって真剣に読んでくれる。
「あなた」と呼びかける手法は、人気のブログや、わかりやすさを売りにしている書籍には必ずと言っていいほど取り入れられている。簡単だが、効果の高さは折り紙つきなのだ。
たとえば、町中でのチラシ配り。ただ漠然と配るより、受け取ってほしい人に呼びかけてみよう。「赤いコートをきた、そこのあなた」。きっと振り向いてくれる。
7.適度に空白行を入れ、即離脱を回避
3行~5行ごとに空白行を入れることで、ユーザーの読むストレスを減らせる。
画面いっぱいに空白なく、文字で埋め尽くされた記事。誰が読んでくれるのだろうか。「内容が凝縮されている良い記事だ」、とはならない。むしろ最初から読む気をうばっている。
たとえ、同じ文字数であっても、一見して文字の多さが目につくサイトと、最後までスクロールして読んでいった結果、多さがわかるサイト。読まれるのは、後者だ。
空白行を入れることがふさわしくない記事であっても、文字を大きくする、行間をあける、などの工夫は必要である。
WEBの読者は、文章の中身より先に、読みやすそうかという点で判断するのだ。
ライティングの技術を磨く以外で、アクセス数をアップさせる方法が知りたい人は、こちらの記事を参考にしてほしい。
8.簡単な表現に言い換え
スラスラ読める文章を意識して、言葉を選ぼう。WEBの読者は、流れるように文章を読み、早く理解したいのだ。
専門用語や堅い口調がむしろ好ましいという人が、サイトのメインターゲットでないのなら、わかりやすく表現をしておいて損はない。
難しい表現が出てくるとスラスラ読めないだけでなく、頭にも入ってこない。さらに、登場した難しい言葉が記事を理解するうえで、重要な単語であれば致命的だ。読者は辞書片手に読むわけではない。調べずとも理解できる文章を目指そう。
9.検索エンジン対策として、キーワードを前方に入れる
SEO施策としては、記事に含まれるキーワードの量よりも、コンテンツの質が重要視されるが、それでも特に狙いたいキーワードは、タイトル、見出し、といった目立つ箇所に入れる必要がある。その際、結論を先に述べることと同様、キーワードもなるべく前方にいれるとより効果的だ。Googleに対して、キーワードに関する記事であることを伝えられる。
ただ、不自然さが出るほど入れ込む必要はない。そもそも、キーワードを含むテーマに関することを書いていれば、自然とキーワードは使うものである。
WEBライティングを鍛えれば、ビジネススキルも向上する
WEBの文章は、とても実用的であるといえる。簡潔で、わかりやすく、役に立つ文章でなければならないからだ。これは、端的に内容を伝える必要があるビジネスに欠かせないスキルにもつながることでもある。
つまり、WEBライティングを鍛えれば、自ずとあなたのビジネススキルも向上するのである。
WEBのライティング技術を極めていけば、相手が知りたい情報を、わかりやすく伝えられるようになる。応用範囲はかなり広く、企画書、議事録作成に役立つだけでなく、プレゼンテーションなど人前で話す技術の向上にもつながるのだ。
正しい日本語、豊かな表現力を身につけ、読者をぐいぐい引き込む文章力は一朝一夕で身につくものではない。しかし、今回紹介したWEBライティングのテクニックを試すことは、それに比べれば簡単だ。意識して取り組めば、あなたにも必ずや読まれる文章が書ける。ぜひ今日から取り入れてほしい。