質問力をつけることは、あなたの生きる力、仕事力を伸ばすことに等しい。
なぜなら、質問をすることで知識は増え、あなたが疑問に感じていたこと、こうではないかなと漠然と考えていたことが明瞭になり、自信を持てるようになる。自信が持てるようになると楽しくなる、質問によって疑問は次々と確信に昇華させることができる。実際に経験していないことでも、容易に理解できるようになっていくのだ。
「重要なことは、質問するのをやめないことだ」
アルベルト・アインシュタインが述べた言葉は、彼が成し遂げた偉業が質問によって為されたものであることを証明しているかのようだ。
社内で、営業先で、パートナーとのコミュニケーションにおいて、質問力を高めることは、あなたの伸びしろを最大限にすることは間違いないだろう。
質問力を向上させる下準備:相手を気持ち良くする
有名人であれば、純粋に会えたことを喜んでいることを伝える。
おべっかでもいい。
「○○さんにお会いできて、いますごくドキドキしています。上手くお話を聞けるかどうか」
あなたのキャラクターに合わせ、相手に対する最大の賛辞を述べるのだ。有名人は「いやいや、そんなたいした者ではないですから」と言いながらも、決して悪い気にはならない。むしろ、あなたの小さな心遣いに、話すことへのスイッチが入るはずだ。
また、著作があれば、必ず一読しておく。ブログを書いているのなら、ざっと目を通しておこう。
このアクションは、取材する人への敬意でもあるし、あなたがこの仕事に臨む際の心構えでもある。取材相手の著作物を読むことは相手の思想に触れることになり、たとえ今回のテーマと異なるものであったとしても、根底に流れる思想は同じなのであり、必ず何らかの参考になるからだ。
もっとも機会の多いであろう会社役員の場合。
事業内容を細かくチェックしておく。細かくといっても、本流の事業に限ったらいい。傍流の事業については「とりあえずやっている」「昔からの流れ」で、ということも多いので、役員自信が良く思っていないこともあるからだ。
さらに、最近の業界の状況やそれを踏まえての業績もチェックできれば済ませておきたい。
相手は会社の役員であり、四六時中事業のことを考えている人種であり、話のなかで100%に近い確率で事業の話題に話が飛ぶ。そんなときに、話題についていけないようでは、相手がスッとあなたから離れて行ってしまうことになるからだ。
質問力を向上させる心構え:賢そうに見せない
前項と併せて、必ず守ってほしいことだ。そもそも取材は、相手に「教えを乞う」行為だ。なのに相手の言葉じりをとらえて、あなたの頭の良さをひけらかしても意味はない。むしろ、相手を委縮させてしまったり、立腹させてしまうことになるかもしれない。そうなっては質問力を鍛えても、もったいないだけになる。取材する相手があなたのいる業界人だったり、取材相手が学生で、あなたよりスキルも知識も足りていなかったとしても、だ。
取材前に仕込んできた情報や持ち前の見識をいったんしまっておき、まずは「私は初心者なので教えてください」「今日はあなたのすぐれた面を吸収しようと思います」という姿勢を前面に出す。取材を進めるあいだに相手の話すことを深掘りしたり、大きく頷く際にちらっと見せるだけにしておこう。
相手は、あなたのリアクションに何かを感じ、「いい加減なことは話せない」と感じ、より言葉に力がやどるようになってくるはずだ。