コラム(フレイバーズなコト)
マネジメントな日々 2012年8月18日
「ひたすら尋ねる」ことの効用
話を聞いてみると、入居率は50%近くになっていて、大きな資産が遊んでいる状態。早急に手を打ちたいのだという。満室なら毎月入るはずの何十万円という賃料が入らなくなってしまっているのは、えらいことだ。築4年のこの物件、最寄り駅からもそんなに離れておらず、設備も申し分ない。
「なんで入ってくれないんですかねぇ…」
いくつか思いついたことがあったので、尋ねてみた。
「レインズ(不動産業者のための情報網)には登録されてます?」
「駅前の不動産屋さんに対するプロモーションは?」
「内見にはどのくらい来られてますか?」
はっきりした答えは返って来ない。空室が多いのは、運営を委託している管理会社が外部に対するプロモーションを怠っているのが原因だ。確信があったとはいえ、不動産屋でもない者が判断を下してしまうのはまずいと思ったので、その場で知り合いの不動産屋さんに電話をかけ、物件の条件を伝える。
「そりゃ、もったいないね。でも、すぐに埋まると思うよ」
彼曰く、私が尋ねた2つをすれば、3番目の「内見者」が増え、空室は埋まっていくだろうというのだ。この「セカンドオピニオン」をクライアントに伝え、ウェブではない解決方法で動くことになった。3ヵ月後、空室はすべて埋まったとの連絡を受け、ホッとする。
ウェブで解決しようとしない方がいいこともある。この件ではフレイバーズには何の売上げも立たなかった。しかし何の思慮もなしに仕事を請ければ、そのとき売上げは立ったかもしれないが、近い将来必ずおかしなことになる。変化球ではあったが、クライアントの課題を解決することが私たちのしごと。いい関係を続けていくためには、大切なことなのだ。