コラム(ブランディング)
ブランディング 2024年2月15日
社内ブランディングを行うメリットと注意すべきポイント4つ
社内ブランディング(インナーブランディング、インターナルブランディング)とは、社内に向けて自社のブランドや理念、ビジョンなどを伝える活動のことで、社員のエンゲージメントや生産性、ブランドイメージを向上させるための活動こと。社内における一体感(全社が同じ目標を持ち、理想の姿の達成に向けて各担当業務を実行)の創出、社員のロイヤリティ向上、競合他社との差別化戦略を実現するために行います。
社内ブランディングの実施は社外向けのブランディングとは異なり、対象が社員(人)となるため、難しい面も多々出てきます。しかし、これを実現しない限り社外向けのブランディングが成功するわけはなく、ブランディングにおいて最も注力すべきことだといえます。
社内ブランディングのプロセス
冒頭で述べたように、社内ブランディングの対象は社員。つまり、自社の社員といえども「人」を動かすことになるので、高圧的に指示を出しても上手くいくことはありません。ステップを踏みながら、実行する雰囲気を醸成することが肝要ともいえます。
社内ブランディングを実行する初期の段階から、社員を巻き込みながら自ら考えていく環境を作っていくことがその後の浸透スピードを左右することになります。
1. 自社の現状を把握する
まず自社の強みや弱み、市場でのポジション、社員の満足度やエンゲージメントなどを調査し、自社の現状を把握します。社内外のステークホルダーからのフィードバックや、社内のデータ分析などを活用して、客観的な情報を収集できれば、その後の方向修正が少なくて済みます。
2. 浸透させるべき企業理念やビジョンの検討
次に、自社が目指すべき理想の姿を言語化して明確にします。この段階では、経営理念やビジョン、ミッション、バリューなどを定義し、社員に伝えたいメッセージを整理します。
また、自社のブランドアイデンティティやブランドパーソナリティなどを設定し、自社の特長や個性、風土などを表現します。
3. 具体的な施策を決定する
目標となる理想の姿を実現するために、どのような施策を実施するかを決定します。社員の理解や共感を得るためのコミュニケーション手法やツールを検討し、実行可能なアクションプランを作成します。
また、施策の効果を測定するためのKPIや評価指標を設定し、定期的にモニタリングやフィードバックを行っていきます。
4. 実行・評価・改善を繰り返す
決定した施策を実行し、その効果や反響を評価し、改善を継続していきます。社内報やイントラネット、社内SNSなどのメディアを活用して、経営理念やビジョンなどを社員に伝えます。社内イベントやワークショップなどを開催して、社員の参加や対話を促すことも併せて行いましょう。
社内ブランディングは、一過性の取り組みではなく、繰り返し繰り返し永遠に実施していかねばならない
ものです。社員のニーズや市場の変化に応じて、社内ブランディングの内容や方法を見直し、改善していくことも出てくるはずです。
社内ブランディングと社外ブランディングの違い
対象
社外向けのブランディング(アウターブランディング、エクスターナルブランディング)は、顧客や消費者など、自社の外にいる人たちに向けて行うブランディング。これに対し、社内ブランディング(インナーブランディング、インターナルブランディング)は、社員やパートナーなど、自社の内部にいる人たちに向けて行うブランディングです。
目的
社外向けのブランディングでは、自社のイメージや魅力を伝えることにより、競合他社との差別化やファンの獲得、売上の増加などを目指します。社内向けのブランディングは、企業の理念やビジョン、価値観を伝えることで、社員のエンゲージメントや生産性、ブランドイメージの向上などを目指します。
手法
社外向けのブランディングでは、ロゴやキャッチコピー、広告、PRといった自社の外に向けてアピールするツールを創造し、浸透させていきます。社内向けでは、社内報や社内ポータルサイト、社内イベント、ワークショップなど、社員とのコミュニケーションに重きをおき、深めることを目的とします。
社内ブランディングのメリット
社内の一体感創出
社内ブランディングによって、社員が自社のビジョンや価値観を共有し、それを自らの行動や考え方に反映させることで、社内に一体感が生まれていきます。これは社員のモチベーションや働きがいを向上させ、組織としての協働や団結が促進することにつながります。
従業員ロイヤリティの向上
社内ブランディングによって、社員が企業に対してたくましい忠誠心を持つように。ロイヤリティの高い社員は、自発的に企業のために最善を尽くし、自社がめざす理想の姿を実現するべく、顧客満足度の向上に直結するようなサービスの提供を心がけます。
また、社員が企業に誇りを持つことになるので、その姿勢が顧客にも伝わり、ブランドイメージの向上にも寄与します。
競合他社との差別化につながる
社内ブランディングによって、社員が自社の製品やサービスを積極的に支持し、外部の人々に推奨することができます。これによって、社員自身が強力なマーケティングツールとなるため、広告やプロモーションに費やすコストを削減しながらも、効果的なブランディングを実現することが可能になります。
社内ブランディングを実施する際の注意点
意外なことかもしれませんが、社内ブランディングでは、社員の価値観や感情を尊重する姿勢が大切です。社員という一人の人間を動かすためには、ていねいなコミュニケーションが成果を左右します。逆に、抵抗勢力(現状維持派)は一定期間放置することも考えてください。徹底的に無視するわけではなく。社内が変わりはじめ、ざわついてくると、抵抗勢力も置き去りになるのは嫌なので、気になってくるものです。その機を見計らって賛同者に変化させます。
社内ブランディングは、一過性の取り組みではありません。継続的に行うことで目的を超えていけるようになります。社内ブランディングの効果や反響を定期的に測りながら、フィードバックや改善案を検討し実践することで、施策の効果を高めていきます。
くわえて、社内外のブランドメッセージは統一しておきます。社内で伝えているメッセージと社外で発信するメッセージが矛盾していては社員の混乱、不信を招くことになります。