コラム(フレイバーズなコト)
フレイバーズなコト 2015年2月2日
握手の心理。スタッフへの信頼を伝えることから仕事を始める
目を合わせて、話す相手への信頼を伝える
毎朝スタッフひとりひとりと握手をすることにしよう!
1年半前から始めた習慣で、まだ続いています。自分の虫の居所が悪かろうが、体調が優れなかろうが、とにかくスタッフのところを回って顔を見るのです。
始めた当初は私自身も気恥ずかしかったものの、最近はごく普通の朝の行事になりました。本当はアイコンタクトをして「今朝も元気か?」と確認したいのですが、スタッフの方はまだまだ馴れないのか、オヤジににらまれるのがイヤなのか、なかなか目を合わせてくれません(笑)。
目を合わせて人と話をすること自体に、馴れていないのかもしれません。私も恥ずかしがりなので・・・(それはウソです)、どうしても目をあらぬ方向にそらせてしまいがちです。しかし、目を合わせるという行為は非常に大事なことで、話をしている相手から信頼を勝ち取れるかどうか、心理的に大きく影響するのです。
目を合わせない=目を合わせられない=本当のことを話しているのか?
といった具合です。たとえそれが長い付き合いの相手であっても、心の奥深いところで何らかの影響を及ぼしているでしょう。
子供に接するときは、必ず目を見る
名古屋で青嵐義塾という有名な学習塾を経営する坪田信貴さん。
「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」でも話題を呼んだ進学塾を経営する人です。
講師の方々への面談で、「塾生を指導するときは、半分くらいの時間彼らの顔をしっかり見てあげてください」と言われていました。アイコンタクトが指導では最も大事だと。たぶん、そうすることで「大丈夫。君ならできるよ」と真摯に伝えられているという心理的な効果が子供たちに伝わるのだと思います。
子供とスタッフを同じと考えてはいけませんが、その思想としては非常に共感するものがあります。握手をしながら、しっかり相手を見て「今日も頼むで。しっかり頑張ってや」と心で伝える。言葉にはしていないので、ストレートには伝わりませんが、私もスタッフも目指すところは同じですので、心理的にはきっと伝わっています。
握手の心理
日本では、初対面の人と握手をする習慣がありません。しかし海外ではお辞儀の代わりに握手をしながらアイコンタクトをして頷き合います。パーソナルでも、ビジネスでも。以前輸出関連の仕事をしていたとき、はじめのうちは馴れませんでしたが、最終的には相手との距離を一気に縮めるために、積極的に握手+アイコンタクトを多用していました。
心理学的に「握手」は相手との距離を近くしたり、意思を伝える効果があると言われています。
- 心理的な「武装」状態を解く効果
- 嘘がつけなくなると感じられる
- 相手の肌のぬくもりが感じられ、心が穏やかになる
- 物理的な距離が近くなると同時に、心理的にも親密になったような印象に
- 強く握られると、感謝されているように感じる
握手をすることで得られる効果は、そのときの状況や心理状態によっても変化します。意図的に何かを企んでいるときを除けば、日本人の場合ほとんどの人が「頑張って握手をしている」わけで、好意的に捉えても良いのではないかと感じます。
握手は一種のボディタッチ。拡張すると、おばちゃんテクニックに
握手の心理学的な効用には、相手とコミュニケーションをスタートする際の基本ともいえる効果がありそうです。ここで気付くのは、握手はボディタッチの一種であるということ。日本人は海外の人に比べて、他人と触れあう機会が少ないと言われています。また、触れあうことは心理学的にリラックス効果があるとされていますので、握手することは日本人にとって相手との距離を一気に縮めるには非常に高い効果を発揮するのかもしれません。
さらに思い出すことがあります。おばちゃんがよく使うボディタッチ・テクニック。もちろん、おばちゃんはあまり積極的に握手はしません。しかし彼女たちは、積極的に話し相手の腕をつかんで大笑いしたり、下からグッと視線を合わせてきたりします。された方は気恥ずかしいのですが、ほんの少し嬉しかったりします。おばちゃんとの距離が縮まった感じがして(笑)。
おっちゃんになった私は、このテクニックを時々使います。
スタッフに説教をしているとき。はじめは厳しい顔で話をしますが、最後の方で相手の手をつかんで「な、わかるやろ?」と笑顔で目を見ると、とたんに彼らの表情はやわらかくなり、合点がいったといったように頷くのです。
握手や相手の目を見ることは、ネット社会に生きる私たちにとって「生き物」として大切なコミュニケーション術の基本なのかもしれません。あなたも、恥ずかしがらずにおばちゃんテクニックを試してみてはいかがでしょうか?