コラム(WEB制作のポイント)
お役立ち・知識 2016年4月17日
最強トラックボール、M570がすべてを解決してくれた
筆者がトラックボールを使い始めて12年。最初はWindowsマシンで走らせていただけだったが、最近はMacでデザイン系の仕事をする際にも使うようになった。クライアントに何かをハンズオンで教えたり、何らかのトラブルがあって他人のPCを使わざるを得ない状況になってしまい、ふつうのマウスを使ったりすると私のPC操作は極端にパフォーマンスが落ちてしまう。それほどトラックボールに依存しているのだ。
筆者がそれほどトラックボールにこだわるのは、PCにもれなく付いてくる「どうでもいいマウス」を速攻で捨て、個人的に追加のコストを払ってでも、余りある大きなメリット(肩がこらない、腕が疲れない、正確にポインティングでき、作業の効率が良くなるなど)があるからだ。
しかし、しかしだ。
よのなか、トラックボールに対する認識が低すぎる。
ものすごい時間をPCの前で過ごしている割には、操作機器に対するこだわりがないのだ。ほんの少しだけ、慣れるまでの時間を確保するだけで、すばらしい体験が待っているというのに、だ。
この記事では、それほどまでにトラックボールに依存してしまう理由をお伝えしながら、あなたにぴったりのトラックボールを探してみたいと考えている。
トラックボールとは何モノなのか
1952年にアメリカで軍事目的として開発されたトラックボール、マウスの構想が明らかにされたのがその10年後だから、トラックボールの方がポインティングデバイスとしての歴史ははるかに古い。
しかも、そもそも90年代のノートPC(Windows3.1~Windows95のころ)には、かなりの確率でトラックボールが搭載されていた。しかしタッチパッドの登場により、「標準搭載」の座を各社で譲り渡してしまい、トラックボールの存在を目にすることが少なくなってしまった。
トラックボールの使い勝手に慣れていたユーザーからは、「なぜそんなことを」と反対する向きも多かったが、時代の流れに負けてしまったのだ。
その原因は、トラックボールには機械的なしくみが必ず必要で、なおかつ場所をとるからだ。
まず、ある程度の大きさのボール、その転がり具合を検知するセンサー、クリックボタン数個。クリックボタンのスイッチ部分を含めて、機械的な薄さを追求できそうなタッチパッドとは、軽量化、最小化を進めていた当時のメーカーからすれば、トラックボールの使い勝手を捨てるしかなかったのだろう。
かくして、トラックボールはノートPCにおけるポインティングデバイスの地位をたちパッドに明け渡すことで、PC全般においてもそのステータスを危うくすることになってしまった。
トラックボールのメリット
詳しくは、すでに公開している筆者の記事「トラックボールの利点を見逃すな。愛用者が伝えたい7つのこと」を参照してほしい。
ここでは、その要点をまとめて紹介しよう。
- 右手を移動させることがないので、肩にかかる負担が少なく、疲れづらい。
- 親指の筋トレになり、指相撲で敵がいなくなる。
- ポインティングしやすいので、仕事が早くなる。
- 誰でも気軽に使える。
- ほぼ音がしないので静か。隣の同僚に迷惑をかけずに済む。
- マウスパッドが不要になり、金持ちへの入り口に立てる。
- メンテナンスも簡単、壊れないので非常にエコ。
ワイヤレスタイプの方が便利か
トラックボールを移動させることはほとんどないので、デスクの上をコードが這っているのが嫌いな人はワイヤレス、気にしない人はワイヤードでいいと思う。
筆者が使っているロジクールのM570tは、UnifyingなのでUSBをひとつ占拠してしまう。Bluetoothのものがあればいいのだが、今のところ各社ともなぜかこのタイプは皆無だ。
「Unifying」
ロジクールが提唱する、独自の無線通信規格のこと。産業用(Industry)、科学用(Science)、医療用(Medical)に確保された周波数帯のうち、2.4GHz帯を使用している。
おすすめは、親指操作タイプ
トラックボールには大きく分類すると、筆者が愛用する親指操作タイプ、人差し指操作タイプ、手のひら操作タイプの3種類がある。これらのタイプの違いも、すでに前掲の記事で紹介しているので、ぜひ一読いただきたい。
左利きの人にも朗報の新製品登場
2015年10月に発売されたエレコムのM-XT4DRBK。GFHK方式のワイヤレスタイプで、机の上もすっきりだ。
何より、左利き用のトラックボールが発売されなかったのがトラックボールの普及に水を差しているのではないかと感じるほど、各社とも黙り状態だったことを考えると、画期的な第一歩だったかもしれない。
左利きでトラックボールを使ってみたかった人にも好評だが、右利きだからこそ左利き用トラックボールが必要なのだという強者もいる。ポインティング操作を左手で行い、右手はお菓子を食べたり、飲み物を飲んだりできるから、だそうだ・・・。
ともかく、トラックボールというニッチなカテゴリーに加えて、左利き用のさらに絞り込まれた市場に切り込もうと大英断を下されたエレコムに、最大の賛辞を贈りたい。
トラックボールは、世界を変える
現状では、ほぼマニア用といった印象の強いトラックボール。しかし、これまで伝えてきたように、このポインティングデバイスは、全国区になる資質十分のツールだ。
筆者は12年もの間トラックボール一筋だったから、もちろん大きく肩入れしていることは認める。しかし、疲労軽減、体力増強、エコなどなど、トラックボールがマウスよりはるかに、世のためになると確信しているから、力強くすすめてしまうのだ。ぜひあなたも、このめくるめくトラックボールの世界へ飛び込んできてほしい。