コラム(WEB制作のポイント)
SEO 2015年7月18日
ウェブマスターツール(Search Console)「検索アナリティクス」をフル活用し、ロングテールSEO攻略
もうあなたは、「SEO対策してるのに、結果が伴わない」とため息をつかなくてもよくなる。今日から、競争の激しいキーワード、いわゆるビッグワードで勝負するのをやめるからだ。
考えて欲しい。
あなたは、SEOのハウツーを調べるとき、「SEO」と検索するだろうか。少なくとも、「SEO」に加えて何らかのキーワードを加えて調べるはずだ。
分析ツールを提供するグローバル企業、エクスペリアンによると、1語のみで検索する人は全体の23%に過ぎず、2~5語が57%、5語以上入力する人が19%もいる。
23%の人しか検索しないビッグワード単体のSEO効果ではなく、残りの73%の人が使うロングテールのキーワードを追った方が、多くを手にできるということだ。
ビッグワードで検索上位を獲得するのをホームランに例えるなら、
プロ野球の本塁打王でも、1シーズンで打てるホームランは40本弱。
約8%ほどの確率だ。ヒットで良しとするなら、その5~6倍は打てるのだ。小さなヒットをコツコツと積み重ねていけば、確実に得点につながる。
イチローはホームランをほとんど打たないが、国民栄誉賞を2度も断るほどの大選手ではないか。
ロングテールのキーワードを調べるのに適したツールが、ウェブマスターツール(Search Console)にある「検索アナリティクス(検索クエリ)」。この記事では、「検索アナリティクス(検索クエリ)」を最大限活用してロングテールのキーワード攻略を行うハウツーをご紹介する。
検索アナリティクス(検索クエリ)で、ロングテールのキーワードを見つける
どんなキーワードで検索された場合に、自社サイトが表示されているのか、あなたはご存知だろうか。
すでに「WEBサイトを訪れた人」がどんなキーワードで検索したかは、Google アナリティクスである程度知ることができるが、「来なかった人」の検索キーワードを知ることはできない。
検索アナリティクス(検索クエリ)を活用する理由がこれだ。
誰かがあるキーワードで検索した際に、自社サイトが表示されても何らかの理由でクリックされていないことがほとんどなのだ。
理由は、検索順位が低かったり、検索者の意図とは異なるコンテンツだったから、ページタイトルに惹かれなかった、説明文がひどかった、などなど。決して、一義的ではない。
いずれにせよ、あなたのWEBサイトが世の中の「検索」に対するステータスが手に取るように分かるのがウェブマスターツール(Search Console)の「検索アナリティクス(検索クエリ)」なのだ。
なかでも、注目すべきはこの記事の主旨である、「ロングテール」として可能性のありそうなキーワードを見つけられることだ。
たとえば、あなたは腹巻き専門店のオンラインショップを運営しているとしよう。
安直に考えれば、あなたが狙いたいSEOキーワードは、「腹巻き」だろう。
当然ではあるが、「腹巻き」はGoogleだけで平均月間検索ボリューム 8,100回を誇るビッグワード(競争率の高いキーワード)。日本全体の平均月間検索ボリュームは、Yahoo!のボリュームも加えなければいけないから、倍以上になるかもしれない。
しかし、ビッグワード「腹巻き」は無理して狙うな、である。
ウェブマスターツール(Search Console)で検索アナリティクス(検索クエリ)をチェックすると、あなたのWEBサイトがこのようなキーワードで表示されていることが分かった。
「お腹 温め」「寝冷え 防止」。
検索ボリュームは少ないものの、競争が少ないだけに上位を狙いやすそうなキーワード。しかも、それらは腹巻き購入に至るための直接的なキーワードではないが、腹巻きを購入する顧客ニーズをダイレクトに表現するキーワードだ。
検索クエリを調べる
Google「ウェブマスターツール(Search Console)」
平均月間検索ボリュームを調べる
Google Adwords 「キーワードプランナー」
平均月間検索ボリューム
「お腹 温め」110回
「寝冷え 防止」140回
コンテンツマーケティングで見込み客を呼び込む
検索アナリティクス(検索クエリ)を使って分かった、顧客ニーズを捉えたキーワードに対して、あなたがとるべきアクションはこうだ。
腹巻きで解決できる悩みを抱えてはいるものの、腹巻きの存在を思いつかなかったり、腹巻きで悩みを解決できるか確認するためのキーワードが「お腹 温め」「寝冷え 防止」なのだから、彼らに上手くアプローチすることで、最終的に腹巻きの購入を検討させるというプロモーションが、いま注目の「コンテンツマーケティング」だ。
コンテンツマーケティングとは、
検索者にとって有益なコンテンツを提供し、あなたと検索者の間に信頼関係を生み、その結果として商品購入やブランドのファン育成につなげるマーケティング手法。
顧客候補が知りたい情報を数多く公開し、関連するキーワードで検索結果の上位に位置することで多くのターゲットを呼び込む。
従来のプッシュ型のマーケティング手法に比べると、回りくどく感じるかもれないが、「買って、買って!」と商品名を連呼するうるさい広告に飽きているユーザーにやさしく近づくことができる。
ネット先進国のアメリカでは、すでにメジャーな理論なのだ。
たとえば、先ほどの「寝冷え 防止」。そのキーワードで検索した人は、何らかの解決策をさがしているはず。そんなターゲットに、届けたいコンテンツがこれだ。
「お腹を冷やさない鉄板ルールで、遅刻ゼロに」
「睡眠時の腹巻きだけで、健康になれた」
解決策をさがしているターゲットは、寝冷えを防ぐための記事をいくつか読むことで、「なるほど、ためになった」とあなたのサイトを評価してくれる。
その時点で検索ユーザーの頭には、「腹巻き」が浮かんでいるので、すぐに商品紹介につなげよう。
ロングテールのキーワードを増やすと、逆転できる
このようにして、ロングテールのキーワードを探りながら記事を増やしていくと、検索クエリの数もどんどん増えていく。検索クエリが増えることによって生まれる効果は2つだ。
1.今までより、幅広い顧客候補を集めることができる
寝冷え、冷え性、お手入れ方法、おしゃれ、着こなし・・・。腹巻きを必要とする人に関連するさまざまなキーワードで、あなたのショップが目に触れるようになるからだ。もちろん、記事の内容は的確な解決策を提供するが必須条件だ。
2.主要キーワードの順位を上げることにもつながる
検索クエリが増えることで、WEBサイトの主要なキーワード(このサイトなら腹巻き)の順位を上げることもできる。
それは、サイトのツリー構造のなかで、ロングテールのキーワード(=寝冷え、冷え性)が増えていくことで、一つひとつの記事の中に含まれる主要キーワード(=腹巻き)の重要度が認められるためだ。しかし、ここにいたるにはある程度の期間と記事の内容が必要だ。
検索クエリの増やし方
それでは、検索クエリの適切な増やし方についてご紹介しよう。
1.主要なキーワードを固める
最初に、あなたのWEBサイトで最も重要なキーワードは何かを明確にしよう。
これは、最終的な目標としてこの単語で自分のサイトを上位表示させたいキーワードのこと。オンラインショップであれば販売している商品カテゴリーになるだろうし、複数サービスを提供している企業ならそのなかで優先順位を決める。
2.ロングテールとなるキーワードをさがす
検索クエリの中から可能性の高そうなキーワードや、その他に可能性がありそうなキーワードの組み合わせをさがす。
組み合わせ候補が決まったら、Google Adwords 「キーワードプランナー」で平均検索ボリュームを調べて、上位を狙えそうなキーワードをセレクトする。その場合、月間検索数があまり多すぎないことや、そのキーワードで表示される競合サイトの内容を見て対抗できそうかを考慮しよう。
3.記事を執筆する
決めたキーワードで記事を書くことで、検索クエリは増やすことができる。
しかし、ここで大切なのは、上位に表示されること。先ほど触れたように、競合サイトの内容、特に10位以内のサイトを入念にチェックし、それよりも内容の濃い記事を書けば上位をねらうことができる。
検索クエリを増やして、得られるメリット
コンテンツを増やすことで、検索クエリも増える。顧客候補が知りたいキーワードで自社サイトに誘導する。それが最もダイレクトなメリットだが、その他プラスになることは多くある。
1.自社サイトの見直しにつながる
検索クエリを見つける作業は、今までの「どうすれば売れるか」という売り手視点から、「顧客候補がどんな情報を望んでいるか」を考える顧客視点に変えるということ。
この頭を切り換える作業は、実は最も難しい。長くサイト運営に取り組んできた担当者ほど、思い切った発想の転換が必要だ。
しかし、顧客視点に立てるようになると、サイト全体の構造から、商品説明コピーの書き方まで、さまざまな点での課題点が見つかるはずだ。
2.自社商品やサービスについて記事を書くことで勉強にもなる
たとえば、冷え性についてユーザーのためになる情報を提供しようとするなら、冷え性について調べなければならない。
どんな原因が考えられるのか、身体に及ぼす影響は?その対策は?と調べていくうちに、あなたは腹巻きだけでなく、冷え性についても語れるようになる。それがリアルのセールスでも役立つことは言うまでもない。
3.顧客の新たなニーズを見つけることにもつながる
検索クエリを増やすプロセスで、今まで知らなかった顧客ニーズが見えてくる。記事を書くだけでなく、商品の売り方のヒントにもなる。
ビジネスのヒントは、すべて顧客ニーズの中にある。
ロングテールを増やして、コツコツとヒットを稼ぐ。その手法は、PDCAサイクルが非常に重要とされるWEBサイトには、とても合っているマーケティング手法だ。
イチローはご存知のとおり、万全な自己管理を行い、まめなストレッチで身体をほぐし、どんな球種がきても打て、ふだんは指名打者でも、いつでも守れる体制を整えている。流れの早いWEBプロモーションの世界でも、そんなふうに身軽に動けるようにしておきたいものだ。