コラム(WEB制作のポイント)
WEB制作のポイント 2015年2月9日
質問の仕方。話の核心に触れるための6つの方法
2-2. 少し寄り道しながら掘り下げていく
日頃のインタビューや営業の場面で感じるのは、雑談が持つ力は大きいということ。人の思考パターンには大体において一貫性があるので、まったく関係のない会話をしていても、本題の核心に近づけることがよくある。
「僕も料理するのは好きでね、その代わり出汁から作らないと気が済まないタイプ(笑)・・・」
「ははぁ、社長。分かる気がします(笑)。だから、新しいネジ開発の時も航空力学から入っていかれたんですね」
「そうかもしれないねぇ。周りが呆れるほど凝り性なんですよ」
こんな時の社長の顔は、嬉々として少年のような表情になっている。
2-3. さまざまな方向からしつこく聞く
逆に会話が盛り上がらないというケースもよくある。聞きたいことを質問しても、なかなか思うような答えが返ってこない時にどうするか?根気よくタイミングを待ちながら、何度でも聞くことだ。
その時に気をつけるのは、質問の仕方を少しずつ変えること。話を言い換えて質問してみたり、逆に相手がNOと言いそうな質問を混ぜたりする。
たとえば「他社が追いつけないネジの精度は、どこから生まれるのですか?」の答えがほしい時。
「製品ができあがるまでに、開発と製造がもめたこともあったのでは?」
「社長はどんなアドバイスをされたのですか?」
「他社だって必死で開発しているはずなのに、どうして御社を越えられないのでしょうね?」
どうしても聞きたいことなら絶対に諦めないこと。いろいろな方向からアプローチしていくうちに、何かきっかけが掴めるはずだ。
2-4. 相手が話し出せる沈黙を用意する
とはいえ、一方的に質問するばかりでは芸がない。相手さえ予想していなかった、「思わぬ収穫」を得る方法がある。話が一段落ついた頃合いを見計らって、あえて沈黙のタイミングを作ってみるのだ。
私たちは、極端に沈黙を恐れる傾向にある。話が盛り上がらないことは悪のように感じてしまうので、あえてそれを利用するのだ。
心理学的には、脳がぽっかりできた「空白」を埋めようとする。その「空白」を埋めるために、相手の口から飛び出すのが本音だったり、話す予定ではなかった、もしくは忘れていた事実だったりするトピックが飛び出すのである。
「・・・・・。ちょっと余談になるけれど、僕が常日頃思っているのはね」と、思わぬ話が聞ける場合も多い。
「あえて沈黙」は、相手の不意を突く上級テクニック。どのタイミングで繰り出せばいいかをよく考えたうえで使うこと。
2-5. 違う人の口を借りて質問する
質問する役割はインタビュアー1人と限る必要はない。傍にいるカメラマンや営業スタッフからあえて質問してもらうのも効果的である。
これはTV番組「カンブリア宮殿」で使われているテクニックでもある。村上龍の口からはダイレクトに聞きにくいことや、ちょっと会話のトーンを変えたい時などに小池えり子??が質問を入れる。
村上の本によると、それも入念に準備されているようだ。やはりすぐれた質問の仕方の裏には、周到な準備が施されている。
2-6. 聞きにくい質問は帰り際のタイミングで
質問の仕方で、これは最も高度なテクニックかもしれない。しかし、タイミングが決まれば効果的な作戦だ。
刑事ドラマ「相棒」の杉下右京がよくやっているし、少し前なら刑事コロンボが帰り際に振り返って言うセリフ「あと、もうひとつだけ聞いていいですか」の名シーン。
質問される相手はインタビューを受けるという非日常的な緊張感から解放されて「やれやれ」という気持ちになっている。そこに雑談のように質問されると、つい本音が出てしまうという心理的効果である。
ただ、慣れないうちは聞きたいことは早めに聞いておくのが得策だろう。振り返ったときに相手がいなかったら大変なことになるので。
まとめ
質問の仕方には、これが正解というものはない。どんな高度なテクニックを駆使しても、質問する本人が嫌みな雰囲気を漂わせていれば、話したいことも話したくなくなる。
「聞き出してやるぞ」といった挑戦的な気持ちでなく、「話を聞かせてほしい、学ばせてほしい」という誠意をもって臨むことが何より大切だ。
しつこいようだが、インタビューも会議でも、基本的には人と人との関わり合い。心が通う瞬間を大切にしたい。
そして、あなた自身が「この人になら話したい。聞いてほしい」と思われる人になることが重要である。日常のなかで物事をしっかりと捉えて、自分なりの考えをもつこと。
質問力を鍛えることは人間性を高めることである。
植松 あおい
株式会社フレイバーズ専務取締役。セールスライティング担当。フラダンスに命かけてます。