コラム(WEB制作のポイント)

サイト運営 2017年9月1日

WEBサイトコンテンツ、微調整よりも一日早く公開するが勝ち

WEBサイトコンテンツ、微調整よりも一日早く公開するが勝ち

できる限り早く公開して、反応を見て、改善する。それがWEBサイトコンテンツを公開・運営する鉄則と考えよう。
誤解を承知で言ってしまえば、多少の間違いがあっても後でいくらでも修正できるのが、WEBサイトの良いところ。それなのに、ほとんどのWEB担当者、もしくは上司の方々は、慎重の上に慎重を重ねてから公開したいと考えている。

それが日本人の良いところでもあるのだが、WEBサイト運営(特に、ビジネスに直結するコンテンツ)に関しては命取りになる。石橋を叩いているうちに、橋の存在自体が意味をなさなくなった、という事態にならないよう、発想の切り替えが必要なのだ。

コンテンツの目的は?WEBサイトというメディアを選んだ意味を考えよう

コンテンツの目的は?WEBサイトというメディアを選んだ意味を考えよう

「そんなこと言ったって・・・」と思っているあなた。世の中のスピードはおそろしく早くなっている。要因のひとつとして、ネットですぐに多くの情報を得ることができるようになったことが影響しているはず。

たとえば、月曜日の朝、テレビが壊れたとする。ひと昔前なら、週末までガマンしてやっと土曜日に電気屋さんに行って、店頭に並ぶテレビを見比べて、店員さんの話を聞いて、なんなら2~3軒別の店を回ってから注文。「お届けは3日後の水曜日です」という流れが普通だった。
それが今ではどうだろう。月曜の昼休みには、スマホで人気のモデルをチェックして、amazonでユーザーコメントも見て、価格ドットコムで一番安い店を探して注文。上手くいけば、火曜の夜には家で新しいテレビを観ているといった具合である。
味気ないといえば味気ないし、そんな世の中って・・・と筆者もどこかで思っているが、しかし私たちはそんな時代を生きている。しかも、そこで生き残っていくべきWEBサイト運営を任されている立場なのだ。

そこで重要になってくるのは、何よりもタイミングである。「テレビを買いたい。早く家で代わりのテレビを観たい!」と思っている人の目の前に、希望に添った商品を提供し、買いたくなるムードを盛り上げて、安心して注文できる仕組みを用意しておかなければならない。
そのタイミングを逃すことは、ビジネスチャンスを逃すことを意味している。
B2Bビジネスであっても、基本は同じ。WEBサイト運営のコツは、ニーズに沿ったタイミングを逃さないことである。

まず、担当者本人が、意識を変える必要がある

まず、担当者本人が、意識を変える必要がある

「スピードが重要なことは分かった。でも、どうやって?」だんだんそんな気持ちになってきたら、ここからが大切。
まず、自分の意識を変えることである。
これは筆者の自己反省を踏まえつつだが、物事がうまく進まないとき、ネックになっているのは大抵は自分の意識にある。「やらなくちゃいけない」と分かっていても、心のどこかで無理かも・・・と思っていれば、それは絶対に実現しないのだ。

最初に整理すべきことは

  1. 当社がいま抱えている課題は?(それが本当の問題なのかを検討したうえで)
  2. それを解決するためには、何が必要か?
  3. それに対して、WEBサイトで解決できることは何?どうやって?(WEBサイトでできないことは初めからやらない)
  4. そのためにWEBサイトで最低限、必要な情報は?(全体像を踏まえたうえで考える)
  5. その情報を掲載することで、いつまでに、どんな反応を期待する?(アクセス数、問い合わせ数など)
  6. それが上手くいかなかったら、次の手はどうする?
  7. それが上手くいったら、次は何をする?

上記は、WEBサイト作成にあたってほとんどの担当者が考えるステップだと思うが、「4」のあたりからズレてしまうことが多くはないだろうか?
WEBサイトのあるべき全体像をじっくりと考え過ぎて、もしくは、考えようとして目指す山が高すぎて動きがとれず、時間だけが経過してしまう。そうして3ヵ月、半年と時間が過ぎていくうちに、何も変わらないままという事態を招きかねない。

公開時の完成度50%と100%。最終的に勝つのは、どっちか?

公開時の完成度50%と100%。最終的に勝つのは、どっちか?

不安をあおるつもりはないが、競合他社(仮にB社とする)が違う意識をもっていたらどうだろう。
B社は、4の「そのためにWEBサイトで最低限、必要な情報は?」を早急に決めて、たとえば1ヵ月後に、必要最低限のコンテンツを公開したとする。もちろん、準備期間が少ない分、サービスに関する説明不足はあるだろうし、もしかしたらお問い合わせフォームも未だなかったりするかもしれない。
それでも、内容がターゲットニーズに合っていれば、それなりの反応は出てくるだろう。そして大抵の場合、それはあなたも同じように考えていたアイデアだったりする。

B社は、公開初日からその反応を随時チェックしていて、予想していたよりも反応がなければ、2週間ほどでランディングページのキャッチコピーを少し変更する。その反応をみては、イマイチなら予め考えていた別案のアプローチと切り替えたりもする。日々細かいけれど、微調整をしつつ反応をを見ながら改良を加えていく。

その間、数ヵ月。もしあなたが大きな山を眺めてモンモンとした日々を送っていたとしたら。もしくは、ボリュームの多いコンテンツ制作にとりかかり、デザイン案で上司のチェックがなかなか進まなかったら・・・。最終的に、立派なコンテンツができあがったとしても、その頃にはB社が一歩も二歩もリードしている可能性がある。早く動く人は、得るものも大きいのだ。

スピードを落とさずに、失敗もしたくない人のために

スピードを落とさずに、失敗もしたくない人のために

それでは、どうすればよいのだろうか。ビジネスチャンスを逃したくないが、もちろん責任も重大。最初の一歩をどう踏み出せばよいか分からないという方に、以下にいくつかの対策をご紹介したい。

2案から選べないなら、両方試してみる

たとえば、新商品の打ち出し方がどうしても決まらない。制作会社から2~3案出してもらったが、どれも良いような悪いような。ターゲット層の悩みやニーズは分かっているが、どんなふうにアプローチしたら一番心に響くのだろうか・・・。

それなら、どっちも試してみればいい。正直なところ、どちらが受け入れられるかはやってみないと分からない。どんなに優秀なコンサルタントに相談するよりも、実際にターゲットの反応を見てみるほうが答えは明快だ。慎重に慎重を重ねて時間を費やすくらいなら、どっちも試してみて反応をみて、微調整すればそれで十分である。
そして、それが簡単にできるのがWEBサイトの良いところ。GoogleのA/B分析のようなお試しツールも揃っているのだから、無料で使えるものはどんどん使わせてもらおう。

社内意見をまとめるために、まず小さな成果を出す

そういった工夫をしながら、小さなことでもよいのでまず結果を出すことは、社内で同意してもらうのに役立つ。「お試しで公開してみたところ、こんな反応がありました。それを踏まえて、次の一手はこれをやります」と報告されたら、大抵の上司もGOサインを出しやすくなるはず。
担当者のあなたはもちろんだが、上司の方々はもっと責任を負っているのだから、失敗はできるだけ避けたい。たとえ上手く行かなかったとしても、その理由説明や対策案を用意することが求められている。
最初から大きな成功や完璧な完成を狙いすぎてはいけない。WEBサイト運営の世界では、小さなことでも結果を出して、それを積み上げていく者が最終的に勝つのだから。

公開スケジュールの単位は1ヵ月。段階的に公開しよう

公開スケジュールの単位は1ヵ月。段階的に公開しよう

とにかく公開目標を決めることから始めよう。サイトリニューアルなら、基本的に3ヵ月後。しかし、全部を揃えて3ヵ月後に公開する必要はない。準備ができたところからどんどん公開していけばよいのだ。スケジュールの組み方としては、1ヵ月ごとに区切ってみる。最初にもってくるのは、基本的には優先度の高いコンテンツであるべきだが、前準備に時間がかかるなら、手をつけやすい会社情報などから進めるのもひとつ。

どちらにしても大切なことは、社内担当者やWEB制作会社など関係者全員がこのプロジェクトに集中するように仕向けてしまうことである。プロジェクトが長引いてしまう原因の一つに、時間が空いてしまうと各人がそれを思い出すのに起動時間がかかるということ。みんなその時間が億劫だから、難しい話は後回しにしてしまう。その結果、進みが遅くなるのだ。

大きな山は輪切りにして、優先順位をつける

大きな山は輪切りにして、優先順位をつける

何百ページもある自社WEBサイトのリニューアル。コンセプトは決まったものの、どこから手をつけたらいいのか分からない。目の前の山が高すぎる。
そう感じているのなら、中くらいの山に切り分けていこう。最初の一歩が動きやすくなると同時に、何よりも気持ちがラクになるので是非やっていただきたい。

その方法としては、

  • 現状サイトの課題をリストアップする。自分一人でなく、関係者それぞれの意見も出してもらう
  • それぞれの目指すべき姿と対策案を書き出す。できるだけ具体的に書こう
  • それらの優先順位をつけて、公開目標を立てる
  • それでもまだ漠然としていたら、一つひとつの課題をまた細分化する

「難しい」「できない」「分からない」は禁句にする

「難しい」「できない」「分からない」は禁句にする

最後に、少しだけメンタル面の話をさせていただきたい。プロジェクトを前に進めて、できるだけ早く結果を出すために、最も邪魔になるのが上記の3つのフレーズである。誰かがこれを言い出したら、話が進まなくなるし、みんなのやる気が削がれるのだ。

あなたの過去の経験を思い出してほしい。社会人になってからでも、子どもの頃であっても、チームで物事がとても上手く運んだときというのは、全員の気持ちが一つになっていた時ではないだろうか。メンバー全員が前向きになって、協力体制を組み、力を発揮していたときではないだろうか。
もしあなたがチームリーダーであれば、この雰囲気を大切にしてほしい。何事も成せばなる、である。

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執筆:植松 あおい

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